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終売間近!? 日産「GT-Rニスモ」の「MY22」と「MY24」を乗り比べ! 17年の歴史は“自動車の進化の縮図”でした

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TEXT: 西川 淳(NISHIKAWA Jun)  PHOTO: タナカヒデヒロ(TANAKA Hidehiro)

パフォーマンスならMY24だが……

まずはスタイリング。いっそうのエロダイナミクス向上をうたうだけあって、MY24には巨大リアウイングだけでは語れない迫力がある。全身のマシン感が凄まじい。ポルシェ「RS」とは言わないまでも、このままサーキットのレースパドックに黙って進入しても場違いではないと思えるほどだ。比べてしまうとMY22は少しおとなしい。レースベース車両ならMY22が「ウラカン EVO」で、MY24が「ウラカン EVO2」というところか。2になると大抵びっくりするくらい大仰になるものだ。

個人的にはMY22の顔立ちのほうがGT-Rらしい、というか日産っぽい。Vシェイプグリルにはなんの思い入れもないけれど、MY24のちょっととぼけたヒラメのような表情よりはよほど精悍だ。

インテリアに目を向けると、これはもうMY24だ。カーボンレカロシートがめちゃくちゃかっこいい。けれどもエンジンに火を入れた途端、ちょっと興醒めした。

もちろん、今はもう爆音主義の時代ではない。たとえ1000馬力のスーパーカーでもエンジンの目覚めは幹線道路に出てからにしてほしいと思うような時代だ。だからV6ツインターボエンジンのスタート音が多少減じたからと言って文句を言う筋合いはないのだけれど、16年にもわたって目覚めのサウンドを聞いてきた者にとっては、MY24の目覚めにはいささかの物足りなさを感じてしまった。洗練されすぎている、とでも言おうか。GT-Rはもっと豪快でよかった。もちろん、これはレギュレーション対応なので開発陣に非はない。けれども、音色にもう一工夫あってもよかった。

最高の工業製品としての矜持

発進時のスムースさは、いずれのモデルイヤーも同等レベル。初期型を所有したことがある私の記憶とはまるで別物で、トランスミッションの動的質感には隔世の感がある。それにも増して驚かされたのはMY24の前脚のさばき。もとより最近のR35は“軽やか”に動かせるようにはなっていたものの、加えてしなやかさや素直さといった官能性にも磨きがかかった。

端的に言って、MY24のノーズの動きは“フツウのクルマ”である。角の取れた乗り心地と相まって、スパルタンさを少し薄めた代わりに洗練された身のこなしが備わった。比べるとMY22にはまだ、ニスモの、というかR35らしい突進型重戦車フィールが残っていた。

高速道路程度の速度域における安定感はMY22でも十二分に素晴らしい。MY24だからといって、公道上では明確な差を感じることはない。フロントメカLSDとあらたな4WD制御はサーキットのような速度域において真価を発揮する。

乗りやすくなって、さらにいっそうの速さも感じることができたMY24ニスモ。スポーツカーの進化としては当然のことであり、それが最高の工業製品としての矜持というものだろう。パフォーマンス面を考えれば悩むことなくMY24である。

けれどもR35GT-Rの17年にも及ぶモデルライフを振り返ってみれば、重量を速さに活用するという“トンデモ理論”の実践が極めてユニークな乗り味をガンダムチックなこのクルマに与えていたことを懐かしく思い出す。その残り香を楽しみたいというのであればMY22をキープしたほうがいい。

異例に長く生産され、その間ずっと当代一級であり続けた。そこには自動車の進化の縮図を見ることができる。

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