忠実に再現するために
コンティニュエーションシリーズのスピードシックスは、2台のオリジナル・スピードシックスを雛形としている。それはナンバーGU409というベントレー社所有のスピードシックスと、1930年のル・マン24時間レースでサミー・デイヴィスとクライヴ・ダンフィーがドライブしたワークス・スピードシックスの「オールド・ナンバー3」の2台である。後者はオーナーから惜しみなく貸し出され、マリナーチームによって寸法、素材確認がされ、コンポーネントに関する貴重なデータを得られたという。
W.O.ベントレー記念財団は、当時チームが使用したオリジナルの図面やメモの80%を提供した。そのメモにはベントレーのワークスチームが1929年と1930年のル・マン24時間レースで信頼性とパフォーマンスを向上させるために行った改造も記載されていたという。
モーニングポスト紙に掲載された当時のロードテストでは、スピードシックスは
「この車は今世紀で最も注目に値するエンジニアリングの成果であり、スピード、静寂性、柔軟性のバランスがユニークな方法で維持されている」
と評価されている。
93年の時をタイムスリップし、創始者W.O.ベントレーの哲学を直に体感することができるモデルが「新車」として公道を走る。なんて夢のある話なのだろう。
AMWノミカタ
レストモッドという言葉を最近耳にすることが多い。これは「レストア」と「モディファイ」を組み合わせた造語だが、この車もレストモッドと言っても良いだろう。古い車を修復するのとは違い、すべてを新品部品で組むことにこの車の価値がある。当然故障対応や部品供給の問題もクリアになっていることだろうからカスタマーは不安を抱えず、安心してスタイリッシュにこの車を乗りこなすことができる。
こんなレストモッドモデルが世にあふれてきたら、きっと街の風景が素敵に変わることだろう。