風通しが良く、横置きが理想
冬の期間しか使用しないスタッドレスタイヤは、夏の間は次のシーズンまで保管をしないといけません。その保管方法によっては、寿命を縮めてしまう可能性もあります。今回は、スタッドレスタイヤの正しい保管方法について解説をします。
紫外線を避けて保管する
全国的に雪が少なかった2024年の冬。地域によってはスタッドレスタイヤから、夏タイヤに交換を終えた人もいるだろう。そこで気になるのが次の冬まで出番のない、スタッドレスタイヤのベストな保管方法だ。
どれだけ高価なタイヤであろうと経年劣化は避けられず、スタッドレスタイヤは夏タイヤに比べて寿命が短いとも言われる。できるだけ性能を落とさず長く安全に使うためには、どのような点に気を付ければいいのか考えてみたい。
まず最大の課題である場所。理想は直射日光が当たらず風通しのいい屋内だ。紫外線や極端な高温に湿気はゴムが劣化する要因で、単純に屋内ならどこでもいいというわけではない。自宅の空いている押入れまたは物置やガレージ、近隣のレンタル倉庫であれば盗難も予防できる。屋内にスペースがない場合は外になってしまうが、その際も直射日光や雨が当たりにくい場所を選び、タイヤカバーなどを使えばだいぶ改善できるはずだ。
もうひとつ頭を悩ませるのは、縦置きか横積みかの問題だ。これはタイヤ単体かホイール付きかで違いがあり、タイヤだけであれば縦置きというのがセオリー。理由は横積みにすると下のタイヤが重みで変形してしまうからで、タイヤラックなら風通しの改善にも役立ち一石二鳥といえる。
いっぽうホイール付きはタイヤ単体よりはるかに重く、縦置きにするとタイヤ下部に大きな負担がかかり、接地面が変形するため横積みのほうがベターだろう。なおホイール付きは空気圧を適正値の半分くらいに下げ、タイヤとタイヤの間に厚めのダンボールなどを挟んでおけば、保管中の負担が減りコンディション維持に繋げられるはずだ。
タイヤの汚れを落としてから保管する
もうひとつはタイヤの汚れを落とすこと。スタッドレスタイヤは主に雪道で使われる性質上、塩化カルシウムの融雪剤が付着する可能性が高い。さらに油分もタイヤの劣化を早める可能性があるため、保管する前にブラシを使って入念に水洗いしておこう。ちなみに洗剤やワックスもタイヤを傷める成分が含まれている可能性があり、長期保管の前は水だけで洗うか洗剤が残らないよう徹底的に流す必要がある。
自宅にスペースがなく盗難が心配な人は、専門店による預かりサービスの利用がオススメだ。料金こそかかるがほぼ間違いなく屋内保管で、タイヤのプロが管理してくれるのは安心感が高い。近年はタイヤのプロショップだけに限らず、ディーラーや中古車販売店でも預りサービスを行っていることもある。
最後はスタッドレスタイヤの使用期限について。摩耗している場合を除き一般的に夏タイヤは約5年と言われるが、スタッドレスタイヤはもっと柔らかいゴムを使用しているため、3〜4年で本来の性能を発揮できなくなると考えたほうがいい。
摩耗のレベルに関しては基準がふたつあり、ひとつは夏タイヤと同じくスリップサイン。もうひとつは「プラットホーム」というトレッドに設けた段差で、それが露出した時点で新品から50%摩耗したことになり、スタッドレスタイヤとして使える限界に達したことを意味する。それ以降もスリップサインが出るまでは夏タイヤとして使用できるが、積雪路や凍結路ではまともにグリップせず事故に繋がる危険性が高く、当然ながら高速道路の冬タイヤ規制にも対応しないので早めに交換しよう。
スタッドレスタイヤの保管方法は夏タイヤと大きく変わらないが、経年劣化の早さや性能を発揮できる基準には小さくない差がある。少しでも冬タイヤとしての性能を維持できるよう、保管の場所や方法を改めてチェックしてみたい。