クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB

クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

  • TOP
  • CAR
  • 3桁の数字はタイヤ総幅ではなかった! 意外と知らないサイズの見方を現役レーサーが解説します【Key’s note】
CAR
share:

3桁の数字はタイヤ総幅ではなかった! 意外と知らないサイズの見方を現役レーサーが解説します【Key’s note】

投稿日:

TEXT: 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)  PHOTO: 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)

  • タイヤサイズ
  • 走りを存分に楽しむなら幅広の方がグリップはする
  • インチアップする際はサイズ選びが重要だ
  • タイヤのラベルにも断面幅と記載がある
  • サイドウォールの模様や文字などを抜いた純粋な幅がタイヤサイズの3桁の数字だ。これを断面幅と呼ぶ
  • サイドウォールにはタイヤのサイズがデザインされている

意外と知らない人も多いタイヤの幅について

レーシングドライバーであり自動車評論家でもある木下隆之が、いま気になる「key word」から徒然なるままに語る「Key’s note」。今回のキーワードは「トレッド面とタイヤ総幅の関係」です。タイヤサイズで表記されている3桁の数字は、タイヤの総幅ではなく、路面に接地している面になります。その関係性について、木下さんが解説します。

タイヤの幅は太くても接地面は狭くなることもある!?

「245/45R18」

タイヤにはサイズを表示する数字と記号が刻印されています。

冒頭の「245」はタイヤの幅をmm単位で表示しています。「45」はタイヤの幅に対するサイドの高さの比を、偏平率として%で表示しています。

「R」はラジアル構造を意味し、「18」はタイヤ内径をインチ表示しています。クルマ好きであれば常識的に理解していただいていることと思います。

ここで確認しておきたいのは、一般的にトレッド面と断面幅とは異なる点です。われわれはついつい、タイヤの幅としてトレッド幅=断面幅と誤解してしまいますが、トレッド面はサイドがわずかに湾曲しているために、断面幅より広くなるのが特徴です。

「タイヤを245にしたい。どの銘柄がオススメ?」

先日のことですが、友人にタイヤ選定を依頼されました。せっかく改造するので、タイヤを大きく張り出したいとのこと。フェンダーの擦れる寸前のサイズにしたいというのです。いわゆる「ツライチ」ですね。

そこで、はたと悩みました。というのも、タイヤの総幅が245であっても、ホイールのリム幅によって変化するからです。一般的にリム幅が0.5インチ広がると、偏平率50以上の高さのあるタイヤで5mm程度、45%以下の低扁平タイヤでは約6mm、総幅が広くなります。ですので、ホイールのカタログに記載されている数字だけでは判断できません。どのサイズのホイールと組み合わせるかで回答は異なってしまうのです。

さらに厄介なのは、友人はハイグリップなタイヤをご所望のこと。そのためにはタイヤのトレッド面を調べなければなりません。グリップ性能がタイヤのトレッド面(タイヤが路面に接する面)に比例する傾向にあります。あくまで一般的な話ではありますが、速く走るためにはトレッド面は広い方がいい。ですから、タイヤ幅を表示する「225」であったり「245」といった数字で性能を予測することはできます。

トレッド面

ですが、タイヤサイドの表示を確認すればタイヤの総幅はわかっても、トレッド面の幅は表示されていません。一般的にタイヤの幅と思われているタイヤ幅は、厳密にはトレッド面とは異なるのです。

高いスポーツ性能を得るためには、タイヤの構造やサイドの湾曲具合を理想的にしつつも、トレッド面を広くしたいのですが、そうはならない場合があります。タイヤの総幅は広いけれど、つまりタイヤは太いけれど路面との接地面は狭いという場合もあるのです。そのあたりが、タイヤ開発のエンジニアの腕の見せ所なのです。

ちなみに、「ダンロップ・ディレッツァβ11」の「205/55R16(リム幅6.5)」のタイヤ総幅は217mmですが、「215/45R17(リム幅7)」のタイヤ総幅は、205よりも狭い214mmなのです。逆転しているのです。

ことほどさように、タイヤのトレッド幅や性能は、タイヤサイズの表示だけでは判断できないものです。タイヤ選びは慎重になさってください。

すべて表示
  • 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)
  • 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)
  • 1960年5月5日生まれ。明治学院大学経済学部卒業。体育会自動車部主将。日本学生チャンピオン。出版社編集部勤務後にレーシングドライバー、シャーナリストに転身。日産、トヨタ、三菱のメーカー契約。全日本、欧州のレースでシリーズチャンピオンを獲得。スーパー耐久史上最多勝利数記録を更新中。伝統的なニュルブルクリンク24時間レースには日本人最多出場、最速タイム、最高位を保持。2018年はブランパンGTアジアシリーズに参戦。シリーズチャンピオン獲得。レクサスブランドアドバイザー。現在はトーヨータイヤのアンバサダーに就任。レース活動と並行して、積極的にマスコミへの出演、執筆活動をこなす。テレビ出演の他、自動車雑誌および一般男性誌に多数執筆。数誌に連載レギュラーページを持つ。日本カーオブザイヤー選考委員。日本モータージャーナリスト協会所属。日本ボートオブザイヤー選考委員。
著者一覧 >

 

 

 

 

 

 

 

RECOMMEND

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

 

 

 

 

 

 

 

人気記事ランキング

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

AMW SPECIAL CONTENTS