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フェラーリ「328」よりレアな「GTBターボ」が1500万円で落札!「手が届く跳ね馬」の注目株で間違いありません

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2023 Courtesy of RM Sotheby's

いずれは328よりも高値となる可能性も……?

このほどRMサザビーズ「PARIS 2024」オークションに出品されたフェラーリGTBターボは、シャシーNo.80099。GTBターボとしては最終期にあたる1989年2月10日にマラネッロ本社工場から出荷され、この時代にはオプション設定されたABSを当初から装備している。

ボディカラーは「ロッソコルサ(レーシングレッド)」、「ネロ(黒)」のコノリー社製レザーインテリアという、この時代のフェラーリとしては定番、現在でも維持されているカラーリバリーとともに、イタリア・ウンブリア州ペルージャで初登録された。

それから約四半世紀後、2015年にフランスへと移されたこの魅力的なGTBターボは、2022年3月にフェラーリの有名なクラシックディーラー「シャルル・ポッツィ」によって、5万ユーロを超える費用を投じたエンジンのフルオーバーホールを受けることになる。さらに同年10月には、5000ユーロ以上の費用を掛けたABSシステムの交換により、さらなるブラッシュアップが施されている。

また、今回のオークション出品に際しては、純正ツールキットとジャッキにくわえて、多数のインボイスシート、2021年に整備を担当したエンジニアが作成したレポート、「フェラーリ・クラシケ」発行のビルドデータが添付されているとのことであった。

そして、オークショネアであるRMサザビーズ欧州本社では、出品者との協議のもと「Offered Without Reserve(最低落札価格なし)」で行うことを決定。エスティメート(推定落札価格)は7万ユーロ~11万ユーロに設定した。

この「リザーヴなし」という出品スタイルは、出品者の意に沿わない安値でも落札されてしまうリスクもあるものの、金額の多寡を問わず確実に落札されることから、ビッド(入札)が進むというメリットもある。

そして1月31日、パリ・ルーヴル宮の「サル・デュ・カルーゼル」を会場として行われた競売では順当にビッドが進み、終わってみればエスティメート枠内に到達する9万2000ユーロ、日本円に換算すれば約1500万円で落札に至った。

ところで、308シリーズの派出型に相当する「208GTBターボ/208GTSターボ」、そして328シリーズに相当する「GTBターボ/GTSターボ」ともに事実上のイタリア国内専用モデルだったことから、現在のクラシックカーマーケットにおける流通は、ほとんどEU圏内のみ。日本国内での流通は、並行輸入で上陸したごく少数のGTBターボ/GTSターボが、時おり専門ショップで売りに出ているのを見かける程度である。そのかたわら、現況のヨーロッパにおけるGTBターボ/GTSターボのマーケット価格は、比較的近いコンディションの328GTB/328GTSと大差ないとされている。

今回の落札価格も比較的リーズナブルといえる範疇にあったものの、もともとの生産数が少ない上に、マーケットでのレア度でもターボがひと回り上であることから、いずれは国際オークションなどでも328シリーズより大幅に高額で取り引きされる可能性も、決して低いものとはいえない。

それが現状における、筆者の見立てである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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