カウンタックより先にシザーズドアを採用した
オープンボディの車体中央に装備したウイングをある意味ロールバー代わりに使っていたロードスターのデザインもユニークであったが、その直後に登場したカラボのデザインはその後1970年代から始まるデザイントレンドの主流をなしたことで、ピニンファリーナも最初のロードスターのボディを変更せざるを得なかったのではないかと思うほどである。
その衝撃的なデザイントレンドとは、「ウェッジシェイプ」である。カラーボの先端が尖った先鋭的なデザインは、そのモチーフが後にランボルギーニ カウンタックに用いられることになり、それが量産化されたことからセンセーショナルで最先端のデザイントレンドとなった。
もう1つカラボの特徴は前ヒンジを支点にして上方に跳ね上げるタイプのシザーズドアを史上初めて採用した点だ。これも後にカウンタックで量産化され、大いに注目を浴びたデザインであった。
リトラクタブルヘッドライトに関してはすでに多くのメーカーがそのアイデアを採用していたが、カラボはルーバーとなって3枚のベントが開閉するタイプだったため、通常のリトラクタブルヘッドライトとは明確に異なり、デザインのモチーフとして使われていた。このルーバー風は前年に、同じくガンディーニのアルファ ロメオ モントリオールプロトタイプに採用されていたことから、これは間違いなく彼のアイデアであった。アルマジロタイプのリアウインドウはミウラに採用されたものである。
こうして見てくると、如何にカラボのデザインが先鋭的で時代を先取りしていたかがわかるし、ガンディーニのデザイントレンドが1970年代を通じて多くのメーカーに影響を与えたことがわかる。
私が実車を初めて見たのは1978年のことで、当時はアルファ ロメオのミュージアムが開館したばかり。その取材でミラノのアルファ ロメオミュージアムを訪れた時だった。メタリックグリーンに塗装されたそれはカラボの名前を体現したもの。オサムシという昆虫の種類から来た名前で、金色オサムシの色がまさにこのカラボの塗装であった。
インテリアは2年後に量産モデルとしてデビューするランボルギーニ ウラッコのインパネそのもののデザインが使われていた(つまりこれも量産化された)。当時は目がロン・パリになると言われたスピードメーターとタコメーターの配置が最大の特徴だった。ちなみにステアリングのデザインもほぼウラッコに採用されていた。
やはりガンディーニの才能はこのクルマを持って開花したといった方が良いのではないだろうか。
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