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60年代セレブが競って買ったジャガー「Eタイプ」に試乗! ポップカルチャーのアイコンは「よくできたスポーツカー」でした【旧車ソムリエ】

60年代セレブが競って買ったジャガー「Eタイプ」に試乗! ポップカルチャーのアイコンは「よくできたスポーツカー」でした【旧車ソムリエ】

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 神村 聖(KAMIMURA Satoshi)

  • この真紅のEタイプは1964年式。つまり3.8L時代のシリーズ1最終型で、ボディタイプはオープンモデルの「OTS(Open Two Seater)」
  • ジャガーEタイプは1961年3月、ジュネーヴ・ショーにてセンセーショナルな誕生を果たした
  • センターモノコック+サブフレームの先進的なシャシー構造をもつ
  • CタイプやDタイプも手がけたマルコム・セイヤーが担当した空力ボディデザイン
  • シャシー構造もデザインも、ともにDタイプから発展したもの
  • 4輪ともディスクブレーキを備える
  • フロントに積むパワーユニットも、Dタイプの流れをくむもの
  • 名機XK型直列6気筒DOHC・3781ccエンジン
  • SUキャブレターを介しては265psのパワーを発揮
  • 同時代のアストンマーティン「DB4」の約半分に相当するリーズナブルな価格なども人気の一因となった
  • 新車さながら、あるいはそれ以上の美しさを誇るコンディション
  • リアのトランクルーム。ホイールのセンターロックを回すための道具も積まれている
  • Eタイプでは左ハンドル仕様が多いのは、当時の英国政府の輸出重視政策にのっとり、その大部分がアメリカなどの右側通行国に輸出させるためにつくられたから
  • ステアリングのエンブレムは繊細なデザインを示す
  • この個体は長らく北米で歴代オーナーたちによって大切に保管されてきた
  • 3.8L時代のEタイプには、XK120~150ゆずりの英国MOSS社製4速トランスミッションが組み合わされる
  • ダッシュ中央にスイッチ類が並ぶ。右の細長いものはチョークレバー
  • この時代は美しい「おむすび」型シートバック形状で、クッションが薄いバケットタイプが選ばれていた
  • かのエンツォ・フェラーリをして「世界一美しい」といわしめたとされるスタイル
  • この時期のシリーズ1は「フラットフロア」と呼ばれる最初期型よりもダッシュボード下の床を一段低めたことで、足もとのスペースが若干広められているのが特徴
  • 深いリムのワイヤーホイールに履いているタイヤはヨコハマS207で、サイズは195/80R15
  • 見た目も走りも、ヒロイックなカッコよさが横溢しているジャガーEタイプは、1960年代ポップカルチャーのアイコンともなった
  • この真紅のEタイプは1964年式。つまり3.8L時代のシリーズ1最終型で、ボディタイプはオープンモデルの「OTS(Open Two Seater)」

1964年式 ジャガーEタイプ Sr.1 OTS

「クラシックカーって実際に運転してみると、どうなの……?」という疑問にお答えするべくスタートした、クラシック/ヤングタイマーのクルマを対象とするテストドライブ企画「旧車ソムリエ」。今回は、古今東西のスポーツカーのなかでも指折りの歴史的傑作として認知されるとともに、1960年代ポップカルチャーの象徴ともなっているジャガー「Eタイプ」をセレクト。そのモデル概要と、ドライブインプレッションをお届けします。

もともとはレースカーとして開発されたって、本当?

ジャガーEタイプは1961年3月、ジュネーヴ・ショーにてセンセーショナルな誕生を果たし、現在でもなお20世紀後半を代表するスポーツカーとして敬愛される名作。しかし元をただせば、1950年代のル・マン24時間レースで大活躍した「Cタイプ」および「Dタイプ」の後継車として開発された純粋なレーシングスポーツ「E1A」および「E2A」なる2種のプロトタイプから進化し、開発の途上から市販スポーツカーに方向転換されたという若干複雑な経緯を持つ。

そのため、センターモノコック+サブフレームの先進的なシャシー構造や、もともと航空機メーカーの「ブリストル・エアクラフト」で活躍した空力スペシャリストで、ジャガーに移籍したのちはCタイプやDタイプも手がけたマルコム・セイヤーが担当した空力ボディデザインも、ともにDタイプから発展したものとなっていた。

生産モデルのボディタイプは、前任モデルに相当する「XK150」時代の「ロードスター」と「ドロップヘッド・クーペ」を統合したオープンモデル。現在では「ロードスター」と表記されてしまうことの多い「オープン2シーター(いわゆるOTS)」と、特徴的な横開き式ハッチゲートを持つ「クーペ」の2本立てとされていた。

またパワーユニットも、Dタイプの流れをくむもの。とはいえ、ジャガーの凄いところはXK150、あるいは「マーク2」サルーンなどにも採用されていた量産エンジン「XK」型直列6気筒DOHCユニットをパワーアップして、ル・マンで大活躍したDタイプにも載せていたことであろう。それゆえ、実質的にはXK150の高性能版3.8S用エンジンのパワーを15psほど上乗せ、265psまで増強しつつキャリーオーバーすることになったのだ。

名だたるセレブたちが競って購入するほどの爆発的人気に

かくして誕生したEタイプは、Dタイプからの継続性を強調した車名が与えられた一方、当時から世界最大のスポーツカー市場であったアメリカでは、すでに高い人気を博していたXK150の後継車であることもアピールすべく「XK-E」と呼ばれた。

そして、かのエンツォ・フェラーリをして「世界一美しい」といわしめたとされるスタイルに高度な設計、同時代のアストンマーティン「DB4」の約半分に相当するリーズナブルな価格なども相まって、チャールトン・ヘストンにディーン・マーティン、そしてスティーブ・マックイーンなどのセレブリティたちが先を争ってXK-Eの注文書にサインするほどの爆発的人気を博すことになったのである。

そしてEタイプは、その北米市場のリクエストに合わせるかたちで、次第にその仕様を変えていくことになるのだが、そのあたりのお話はまた別の機会、たとえばV12エンジンを搭載した「Eタイプ シリーズ3」に、いつか試乗するときにでも譲ることにしよう。

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