G 500 4×4スクエアード
2015年2月にデビューしたメルセデス・ベンツ「G 500 4×4スクエアード」は、その前年にあたる2014年に発表された6輪モデル「G 63 AMG 6×6」に続くスーパーオフロードヴィークルだ。同じGクラスでも「AMG 6×6」では、さすがにオーバースペック。もう少しだけ、実用に振ったモデルを求めるリクエストに応じて開発されたという。
その結果、G 63 AMG 6×6の4輪バージョンというべきモデルとなったG 500 4×4スクエアードは、ポータルアクスルをG 63 AMG 6×6から継承したうえに、325/55-22という巨大なタイヤを採用したことによって、最低地上高を450mm(スタンダードG 500は210mm)まで大幅アップ。また渡河性能は1000mmと、スタンダード版G500に比べて400mmアップとなったという。
エクステリアは、モンスターそのものともいうべきG 63 AMG 6×6と比べれば若干穏当なものとなったとはいえ、そのサイズは「メルセデスAMG」ではなく「メルセデス・ベンツ」の初代W463系Gクラスとしては史上最大。スタンダード版G500より全高で270mm、全幅も240mm拡大され、周囲を睥睨(へいげい)するかのような威容を誇る。
パワーユニットに選ばれたのは、このモデルのデビュー時にはAMG専用だったツインターボチャージャー付きアルミニウム合金製ブロックのV型8気筒エンジン。クロスカントリー性能の向上を期してトルク重視のディチューンが施されてはいたものの、422psのパワーをマークし、7速オートマチックのトランスミッションが組み合わされた。
日本国内では、2015年2月から同年5月末までオーダー受付。新車価格は3510万円という「メルセデス・ベンツ」ブランドのGクラスとしては史上最高額モデルとなった。
ただし限定生産というかたちをとらず、一定数が日本国内でも販売されたことから、現在の国内マーケットにおける販売価格は、2000万円代中盤から3000万円弱あたりで推移しているようだ。
マイバッハ G 650ランドレー
2017年3月のジュネーヴ・ショーにおいてワールドプレミアに供されたメルセデス-マイバッハ G 650 ランドレーは、「メルセデス・ベンツ」および「メルセデスAMG」のGクラスから大幅にホイールベースが延長され、2軸4輪ながら全長5345mm、全高2235mmという堂々たるサイズを誇る。
また、最高出力630psを発生する6L V12ツインターボユニットに組み合わされる7速トルクコンバーター式ATには、本格的クロスカントリー4×4らしく3つのティファレンシャル・ロック機構が搭載されているほか、ロードクリアランスはポータルアクスルの採用によりG 500 4×4スクエアードと同じ450mmとされ、オフロードでも最上級の走破性が与えられることになったようだ。
いっぽう、ドライバーの乗るキャビン前部はクローズドルーフで、独立した2座分のリアコンパートメントを覆うのは電動のソフトトップ。ボタン操作で、オープンエアが気軽に満喫できる。ショーファードリブン用のリムジンのカテゴリーにも入るランドレーゆえ、ボタン操作で昇降できるだけでなく、透明と不透明を切り替えることもできるというガラス製の電動パーティションによって、前席と後席は仕切られているという。
もちろんキャビンは、シートのレザーハイドやウッドキャッピングは「マイバッハ基準」の、より豪壮なマテリアル&フィニッシュが与えられ、カラースキームもマイバッハ独自のものがビスポークとして選べることになっていた。
とくにリアコンパートメントには、専用のエアコンディショナーやインフォテイメントシステムを備え、快適な移動を楽しめるようになっている。
本格オフローダーでありながら、同時に本格的なリムジン/ランドレーに仕上がったと謳われたメルセデス マイバッハ G 650 ランドレーは、2017年下半期より世界限定99台のみが生産されたといわれる。
日本では、あの前澤友作氏が購入したといわれる個体を含めて3台が割り当てられ、当時の販売価格は未公表ながら、1億円越えだったと噂されている。
それゆえ、こちらも現在では「相場」というものが発生しないほどに希少ながら、もしもユーズドカー市場に現れたとしても新車価格を遥かに上回るプライスとなるのは間違いのないところであろう。