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筑波最速更新! 日産「GT-R NISMO」MY24が「59秒078」の量産車最速タイムを叩き出した裏側を全部見せます

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TEXT: 山崎真一(YAMAZAKI Shinichi)  PHOTO: 木村博道(KIMURA Hiromichi)/小林 健(KOBAYASHI Takeshi)

フロントLSDが速さに貢献! 59秒2をコンスタントに記録

では、GT‒R NISMO MY24の伸びしろはどこにあったか? そして記録更新できた理由を探っていきたい。

まずはタイム。今回は2日間で12回タイムアタックした。数字を見るとすべてのタイムが59秒前半から中盤でまとまっている。

2019年シーズンのタイムアタックでは、最初は1分をなかなか切れず、セットアップが決まっても59秒後半がいっぱいだった。だが、今回は59秒2という高いレベルで、よりコンスタントにタイムを揃えられている。路面や気温などの条件を加味してもMY24のほうが安定して速いことがわかる。

次に、MY20に対して、どこでタイムを削ることができたのか? 松田次生選手に尋ねると、

「GT‒Rは基本特性として曲がりにくいので、速く走らせるには、とにかく曲げる動作が必要になってきます。とくに路面/気温が低いときはストレートでフロントタイヤが冷えてしまい、アンダーを誘発します。そのため、抵抗を与えて発熱させるため、前後ともややトーアウトにセット。キャンバーは純正で調整できる限度の2度2分に設定しました。今回もいろいろと試しましたが、結局はMY20と同じ数値に落ち着きました」

松田次生選手

次に車両の進化。MY20と比べて違いはどこにあったのだろうか?

「ターンインまでの印象にさほど変わりはないのですが、そこから先は機械式LSDの効果で前へ前へと引っ張ってくれるのがポイントですね。1コーナー/第2ヘアピン/最終コーナーなどでその効果を感じます。とくに最終コーナーは前回4速で抜けていましたが、今回は4速ではアンダーが少し強めに出たので、3速でフロントに積極的にトラクションを掛けるほうが速く走れています」

エアロパーツについてはどうか?

「形状の変更で確実にダウンフォース量は増えています。とくにリアの安定感は増しました。こうしたミニサーキットよりも富士や鈴鹿などのハイスピードコースでは、より明確な差となって現れると思います。バランスについては少しリア寄りになり、これまでとは乗り方を変える必要がありました。これは車高の調整等でバランスを取れば、より性能を活かせると思いますので、チューニングされる方はぜひ試してほしいです」

最高速についてはMY20/MY24ともに205km/hと同じ。タイヤのスペックにも変化がないので、コーナーの立ち上がりでトラクションを稼ぎ、タイムを削り取ったのが記録更新の理由だろう。

「タイヤについては指定空気圧のままでも腕に覚えがある人であれば、同一条件なら1分切りは可能だと思います。そこから、さらにタイムを詰めるには気温と路面温度に合わせた空気圧の調整が必要です。ただ、冷えているときはアンダーが強いセットでも、温度が上がってくると前後のバランスがよくなり、曲がりやすくなりますので、そのあたりにも注意してセットアップしてほしいですね」

今回のタイムアタックを総評してR35開発責任者である川口氏は、

「社内のシミュレーションではMY24の伸びしろはコンマ3秒という数値が出ていました。とはいえ、普通は想定通りとなることのほうが少ないのですが、開発メンバーが松田さんに合わせたセットを導き出し、最後にミスなく揃えた。結果は素直にうれしいですね。ただ、こうした極限の走りで見えてくるものがあり、今回も多くの宿題をいただきました。それがクルマ作りの面白さであり、さらなるモチベーションに繋がります。許されるならGT‒Rという最高の素材を磨き続けたい。あらためてそう思いました」

挑戦をし続ける、タイムアタックを通じて進化(深化)を証明する。今を超えるための開発はもう始まっている!

(この記事は2024年2月1日発売のGT-R Magazine 175号に掲載した記事を元に再編集しています)

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