目指したのは漫画『シャコタン☆ブギ』の“ハジメちゃん”仕様のソアラ
1986年に『週刊ヤングマガジン』で連載が開始された、楠みちはる原作の漫画『シャコタン☆ブギ』は昭和の乗り物好きに大きな影響を与えました。そんな漫画に影響され、漫画の主人公の“ハジメちゃん”が乗っていたトヨタ「ソアラ」の実車版を製作したオーナーとその愛車を紹介します。
10ソアラに最強ユニットRB26DETTを搭載
昭和の乗り物好きな若者に大きな影響を与えた漫画といえば、1986年に『週刊ヤングマガジン』で連載が開始された楠みちはる原作の漫画『シャコタン☆ブギ』だ。街道レーサーファン、そして当時の改造マニアを夢中にさせた理由は、そこに描かれた改造車はどれもリアリティを追求していたからだ。
この漫画の影響もあって、公道には漫画の主人公の“ハジメちゃん”仕様やその仲間の“ジュンちゃん”仕様といった改造車が続々登場した。ここで紹介するMZ11型トヨタ ソアラ2.8GTを所有するオーナーの“たくさん”も、漫画『シャコタン☆ブギ』にどっぷりハマッていた世代。叔父さんから譲り受けた不動のソアラを修復がてら、ハジメちゃんが乗っていたRB26DETTエンジン仕様の10ソアラ実車版を製作。その完成度は完全にマンガの世界観を超えていた。
チューニングの世界を知る者ならば、R32 GT-RのパワーユニットであるRB26DETTの凄さは知っていると思う。エンジンだけでなく、当時のGT-Rは駆動方式、電子デバイス共に最先端の素晴らしいシステムが組み込まれ、チューニング業界、そしてレース業界共にR32 GT-Rの敵はR32 GT-Rしかいないとまで言われた。
そんな最強エンジンを漫画『シャコタン☆ブギ』では、ソアラに搭載するなんて無茶な発想で描かれたことに衝撃を受けたひとも多いはずだ。ここで紹介する“たくさん”もそのひとりで、あの衝撃の内容が忘れられない思い出となり、実際に作れるか試してみよう……なんて好奇心からMZ11改RB26DETT搭載のハジメちゃん仕様ソアラを完成させてしまった。
やるならとことん。何から何までR32 GT-R用を装備
製作に関しは仲間にも協力してもらって試行錯誤を繰り返しながら約2年を費やしたという。ベース車となるMZ11ソアラ2.8GTが元々搭載している5M-GEU型エンジンを降ろして、その寸法に収まるようサスペンションメンバーに若干の加工を加え、エンジンマウントを製作してRB26DETTを搭載できるように工夫。もちろんタービンなどの補器類も含めて、ソアラのボディ内にしっかり換装。その完成度はとても高く、まるで純正エンジンのように自然な感じで収まっている。
エンジン換装に伴って、駆動系も大幅に手を加え、トランスミッションはR33スカイラインタイプM用5速を流用し、クラッチはOS技研のツインプレートをセットした。また、機械式LSDも入れているが、デフについては純正キャリアのままなので、ソアラ用TRD製の機械式デフで強化しているそうだ。