早ければ次のシーズンから実践に投入される可能性も
2024年3月28日(木)、ヤマハ発動機が電動技術獲得に向けた ローラ・カーズとの提携について記者会見を開きました。EV世界最高峰レースとなるフォーミュラEに出場するチームに向けた車体パッケージの開発を共同で進めていき、早ければ、次のフォーミュラEシーズンである2024-2025から導入されます。
「Tokyo E-Prix」開催直前に有明の記者会見を開催
ABB FIAフォーミュラE世界選手権2023-2024シーズン第5戦「2024 Tokyo E-Prix」の開催を目前に控えた2024年3月28日、東京・有明で開かれた記者会見には、ヤマハ、ローラ・カーズ関係者だけではなく、フォーミュラEホールディングスCEOのジェフ・ドッズ氏、共同創設者兼チーフ・チャンピオンシップ・オフィサーのアルベルト・ロンゴ氏も出席となった。
フォーミュラEの2名からは、日本での初開催に対する期待と、長いヘリテージを持つこの両社に対しての歓迎の意が述べられていた。
オートバイや電動アシスト自転車でおなじみのヤマハ発動機は、創業年の1955年に富士登山レースや浅間火山レースに出場、また1961年からはロードレース世界選手権(現MotoGP)に参戦を開始し、現在も世界選手権への挑戦を続けている。一方4輪ではエンジンコンストラクターとして、1989年から1997年までF1に参戦をしているが、4輪での世界選手権参戦はそれ以後行われてはいない。
ヤマハでの電動化という部分では、すでにEV用電動モーター(最大出力350kWクラスまで)の試作開発受託を進めており、2輪事業では、原付1種クラスの電動スクーターをこれまでに幾度もリリースしてきてもいる。現在は実証実験という形で原付2種クラスの「E-01」の一般向けリースも行う。
一方ローラ・カーズは、1958年にイギリスで創業したレーシングカー・コンストラクター。古くはホンダのF1マシンのRA300でのかかわりがあり、日本では、全日本F3000からフォーミュラ・ニッポンでも同社のシャシーを使用していたため、モータースポーツの世界ではおなじみのメーカーとなる。2012年に経営破綻となってしまっているが、その再出発としての挑戦が今回のフォーミュラEへの参戦表明である。
フォーミュラEでは、コスト上昇を抑えるために、現在その車両の7割がレギュレーションで共通化されており、残り3割の部分でコンペティティブな技術競争が行われている。ローラとヤマハは、電動パワートレインなどの残り3割の部分について開発を行っていくことになる。
この提携話についてはいつからどのような形で進んでいったかについては明かされなかったが、数年前から話は進んでいたとのこと。提携についてはローラ社というより、まずマーク・プレストン氏がいることが重要だったようだ。ヤマハがF1を撤退する直前のアロウズに在籍しており、フォーミュラEでもチーム・アグリ、テチーターで活躍してきた人物である。
今後、ローラとヤマハのパッケージによるフォーミュラEマシンを希望するチームに供給していくことになるが、ヤマハが直接レースに乗り出すことはないという明言もあった。早ければ次のシーズンから実践に投入される可能性もあるとしており、まずはその登場に期待したい。