実用的なステーションワゴンとして一定の評価を集めた
1997年4月にトヨタ「マークII ワゴン」の新型モデルとして登場したのが「マークII クオリス」でした。フロントマスクやテールランプこそ8代目マークIIによく似たデザインを纏っていましたが、プラットフォームは、FRのマークII用ではなくFFの「カムリ グラシア」用を採用。先代にはなかった4WDモデルがラインアップされた理由とは?
エンジンは直4とV6をラインアップ
現在はセダン需要の冷え込みもあって姿を消してしまったトヨタのミドルクラスセダンであったマークII(とその後継車種であるマークX)。多くの人にとってはマークII=4ドアセダン(ハードトップ)というイメージが強いかもしれないが、実は初代モデルからステーションワゴンモデルも存在していた。
ただ、モデルチェンジに合わせてワゴンも新型となっていたのは1984年に登場した5代目モデルまで。そのあとは4ドアモデルがフルモデルチェンジを実施してもワゴン(とバン)は5代目モデルが小変更を繰り返しながら継続販売が続いていたのだった。
そんなマークIIワゴンが一新されたのが1997年4月のこと。前年に8代目へとマークIIがフルモデルチェンジを果たし、およそ半年後に「マークII クオリス」と車名を一新して登場したのだ。このマークII クオリス、フロントマスクやテールランプこそ8代目マークIIによく似たデザインを纏っていたが、中身は前年に登場したカムリ グラシアの兄弟車となっていた。
そのため搭載エンジンはマークIIの主力となっていた直列6気筒は存在せず、横置きの直列4気筒かV型6気筒となっており、駆動方式も前輪駆動と前輪駆動ベースの4WDとなっていた。ただマークIIの名前を冠するだけあって上級なキャラクターが与えられており、カムリグラシアにはラインアップされないV6 3Lエンジンを搭載するグレードも用意されていたのが大きな違いだった。
なお、過去のマークIIワゴンは当然ながら後輪駆動で4WDの設定はなかったため、降雪地帯に住むユーザーにとっては歓迎すべき変更となっていたようだ。
また前輪駆動レイアウトとしたことで広い室内空間を実現しており、ややキャビンはミニマムであったものの、実用的なステーションワゴンとして一定の評価を集めたのだった。
ただやはりマークIIの名前を冠しているのに前輪駆動レイアウトというのは古くからのユーザーにイマイチ受け入れられなかったようで、マークIIが9代目へとフルモデルチェンジを実施した2年後に正真正銘マークIIをベースとしたステーションワゴンの「マークII ブリット」が登場するとバトンタッチをする形でマークII クオリスは終売となっている。
その後マークIIがマークXへと一新した際には再び前輪駆動レイアウトのステーションワゴン、マークXジオが登場しているが、こちらもやはり往年のユーザーには評価されず不人気車の烙印を押されることになってしまった。