内装はロッソFXレッドのアルカンターラ
2024年3月8日にRMサザビーズがドバイで開催したオークションにおいて、フェラーリ「812コンペティツィオーネ」が出品されました。走行距離はわずか90kmと少なく、多数のオプションパーツが装着されています。予想落札価格よりもはるかに高額で落札された理由は何でしょうか。
限定生産だった812コンペティツィオーネ
フェラーリの2シーター、フロントエンジン、後輪駆動モデルのフラッグシップとして、2017年に華々しく登場した「812スーパーファスト」。フェラーリはそれに、800psの最高出力と718Nmの最大トルクを誇る最新世代のV型12気筒6.5Lエンジンを搭載し、「これまでで最も速く、そして最もパワフルなフェラーリ」というセールストークとともに、その販売を積極的に行った。
もちろんそれを見るカスタマーの関心も高く、とくに2017年はフェラーリの創業70周年にあたることから、「ロッソ・セッタンタ・アンニ」と「マット・ウォーム・グレイ」の専用カラーも設定され、それもまた話題となったことも記憶に新しい。
そして812スーパーファストにも、2022年に生産が終了するまでの間に、さまざまな派生モデルが誕生する。2019年には「365GTS/4」(デイトナ・スパイダー)以来、じつに50年ぶりとなるシリーズモデルのフロントV12オープン、「812GTS」が登場。そして2021年にはここで紹介する「812コンペティツィオーネ」と「812コンペティツィオーネA」の限定生産が発表されたのである。
ちなみに後者は812コンペティツィオーネをベースとしたA=アペルタ、すなわちオープンモデルであり、限定生産数はクーペモデルが999台、アペルタは599台という数字だった。
フロントにV型12気筒エンジンを搭載する、究極の限定車だった。812コンペティツィオーネ開発の目的は最初から明確であり、スーパーカーの開発が無類のドライビングプレジャーを提供することを意図して、あらゆる場面で最大限のパフォーマンスを引き出すことを目標とした場合に、何が可能であるのかを実証してみることにほかならなかった。