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ニュルのサーキットタクシーのブレーキは「ディクセル」だった! カスタマー第一の「見やすく、分かりやすく、選びやすく、迷わない」商品展開とは

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TEXT: 山崎真一(YAMAZAKI Shinichi)  PHOTO: 山崎真一(YAMAZAKI Shinichi)

  • ディクセルのブレーキローターとパッド
  • ブースには仕様の違いがわかりやすい展示がされていた
  • 愛車にどの製品が合うのか検索できるシステムも好評
  • 品質向上のために行ったテストの結果も公開
  • モータースポーツ活動を行うレーサーを支援するスカラシップ制度も導入
  • 大阪オートメッセ2024に出展したディクセルブース
  • ファナテックGTワールドチャレンジ・アジア、F4 UAE、フォーミュラ・リージョナル・ミドルイースト、ドイツ・ニュルブルクリンクのサーキットタクシーなど海外でディクセルのブレーキは大活躍している
  • ディクセルが手がけるモータースポーツ用ブレーキローターとブレーキパッド

海外にもファンが増えている注目の国産メーカー

日本には大小を含めると数えられるだけでも40社以上あるのが、自動車用ブレーキパーツメーカー。その中で注目なのが、関西を代表する「DIXCEL(ディクセル)」です。大阪オートメッセ2024の会場で、営業部企画広報課の金谷大輔さんに話を伺いました。同社が打ち出す他メーカーとは異なる独自の戦略とは?

純正補完パーツの展開を拡大中

創業は2003年と比較的新しいブレーキパーツ専門メーカーであるディクセル。社名の由来は「優れた」を意味する「Excellent」と「減速」を意味する「Deceleration」というふたつの言葉を融合した造語である。創立当初はほかのブレーキパーツメーカー同様に、モータースポーツフィールドに部品を供給。一時期はレーシングチームの「GAINER(ゲイナー)」のメインスポンサーを務めるなど、レース活動に積極的に取り組みスポーツ色が強かった。

一般ユーザーからも同様のイメージで認知が高まったディクセルだが、7~8年前から方向転換。チューニングショップ向けのハード商品だけでなく、整備工場をメインに据えた純正補完パーツも商品展開を拡大。ユーザーだけでなく、販売店からも支持されるブレーキパーツメーカーとしてのスタンスを新たに打ち出している。

大阪オートメッセ2024のブースでも、車両の展示はなし。POPも商品の性能チャートだけでなく、ブレーキの基本的な説明や取り組みなどを分かりやすく、かみ砕いて解説するボードがずらりと並ぶなど、スポーツイメージはかなり控えめだ。

「一般のユーザーの方々はもちろん、われわれにとってのお客さまである販売店の皆さんが『見やすく、分かりやすく、選びやすく、迷わない』ようにするにはどうしたらいいかをつねに考えています。商品の名前を変えていないことや、商品数を極力増やさないこともそのひとつの例で、前に使った商品が良かった場合、商品名を変えてしまうと、次にどの商品を選べばいいのか、ユーザーさんは悩んでしまいますよね。それによって顧客流失に繋がる可能性もあります。安心感も商品選びには重要なファクターだと感じています」

と金谷さん。こうしたブレーキ商品の「見える化」は一般ユーザーや販売店だけでなく、社員教育にも有効だと続ける。

「見やすく、分かりやすさを考えたPOPは新入社員の教育にも最適で、『これがブレーキの基本だから、これをまず覚えなさい』と説明します。伝えるわれわれが理解していないと、販売店さんに正しく伝えることができませんから。基礎を覚えたら、『さらに理解を深めてもらうためにはどうすればいいか、部署ごとに考えなさい』と課題を出します。その発表の場が大阪オートメッセなどのイベントで、展示物の多くは社員が考え、形にしたものです。自分たちが作ったものが、公の場所で展示されることは社員の自信につながります。そうした意味でも現在のスタイルは理にかなっていると思います」

海外を見据えた独自の活動

ちなみに、モータースポーツ活動は国内ではなく、海外に軸足を置いている。具体的には日本国内でも開催されるGTワールドチャレンジ・アジアとF4東南アジア選手権にオフィシャルパートナーとして参画し、ブレーキパーツを供給。技術とノウハウの蓄積だけでなく、海外での販売を見据えた戦略的なパートナー提携なのだ。

海外レースにも供給している

「その他、ニュルブルクリンクサーキットのタクシーにブレーキを提供するなど、他社さんとは異なるフィールドで勝負しています。ブレーキメーカーさんも数多くありますから、自社の強みというか、方向性をしっかり打ち出さないと生き残っていけない。方向転換から7~8年。ようやく定着してきたと実感しています」

スポーツ走行に特化した商品もラインアップするが、一般ユーザーが買いやすく、販売店が売りやすい商品とサービスの提供を強く打ち出すディクセル。そうしたユーザーの心をつかむ取り組みや試みが魅力なのだろう。

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