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ポルシェ「911GT3」にリフターを装着して気分はハレバレ!? 還暦前オヤジの「また新たな問題発生」弱り目にたたり目編【役物911長期レポ】

リアディフューザーが車輪止めにあたるため少し前に出して駐車中。「なんだこいつ邪魔くさい、へたくそか?」といわれかねない状態(笑)。もっとも大型SUVや1BOXと位置的に変わらないけれど。周りのみなさんごめんなさい

991後期型911GT3で突き進む怒涛の羽根付きポルシェライフ

トラベル系コンテンツディレクターとして糊口をしのぐ筆者が、齢60を前にしてドライブ旅行やスポーツ走行にも挑戦したいという想いから、憧れだった羽根付き「ポルシェ911」の購入を決意。経済的にも体力的にも限界にきている(?)アラカンのシニアにポルシェは翼を授けるのでしょうか? リフターも装着してひと安心と思ったら……翼がもがれてる?

リフター装着でストレス解消! 気分もハレバレ!

「ロベルタリフターシステム・エレクトリック」(以下リフター)の装着が完了した。これでようやく我が駐車場への入庫が叶った。+7cmというリフト量が確保でき、段差やスロープで恐れおののくこともなさそうだ。

それにしてもボタンひとつで「ギュインとリフト、プシュ〜ッとダウン」するなかなかの素早い動きはお世辞抜きに感動もの。うかつに段差に侵入して「やばっ!」と思った時でもすぐさま反応してくれるのはありがたい。

991後期GT3の車両重量は1450kgで、前後重量配分はフロントが約39%、リアが約61%(991前期GT3はフロント約38%、リア約62%)だから、厳密ではないけれど単純にフロントへ約566kgの荷重がかかっていることになる。フロントエンジン車やセダン系のクルマよりも断然軽いとはいえ、動かすたびに素早く持ち上げるエアのパワーと精度の高さを感じるのであった。

加えて恐れ入ったのはロベルタさんの仕事ぶりである。作業もほぼ3日間と速かったが、その仕上げにも感動したのだった。フロントトランク内には、メカニカルで見た目もカッコいい電磁ポンプやエアタンクが置かれるのだが、純正同様のカーペット生地を貼ったボックスに収納され、トランク内に置かれているとは分からない仕上げなのだ。収納スペースはボックス分だけわずかに狭くなるだけで、使っているバッグや小型ラゲッジをこれまでと変わりなく積めており、支障は全くない。なおポンプの音もまるで聞こえない。

スイッチユニット類のセットアップも気づかい度満点だ。ダッシュボード下に見えないように配され、小さなリモコンスイッチがセンターコンソールに装着される(手持ちも可)のだが、車内の雰囲気を全く害していない。さらに感動したことは、頭上の天井部からサイドシル、ドアアーム、足元に至るまで保護フィルムが貼られていたことだ。作業で触れそうなところをくまなくしっかりと保護しているのは、さすがウン億円のスーパーカーまで扱う会社だからこそだろう。スーパーカーの世界では当たり前なのかもしれないが、これまで紙製の保護シートや床面、サイドシルの保護くらいしか見たことのない人間にとっては驚きだった。

その細部への気のつかいようは、自身の仕事でも見習うべきものがあるなぁ、といたく感心してしまった。まあ、イタイのはそのお値段だが、機能面でも、ストレスから解放された精神面でも、支払った価値は大いにある。気分もハレバレだ。

GT3にリフターは必需品、リアディフューザーは消耗品

思うに、これからGT3やおそらくはGTSも含めて車高の低い911の購入を考えているなら、当然ながらリフターはあったほうが断然いい。公道で乗っていて痛感するのは、どこもかしこも段差だらけだからだ。

日本の一般的な道路の縁石の高さは最低150mm(ドイツも基準は同じ。米国や英国の場合低くて100mmから)と高めのうえに、スロープの傾斜もきつめな作りのほうが多い。それに鉄道王国だけに大都市近郊はいまだ段差のある踏切が行く手を遮る。公園などでもスピードバンプがかなり整備されてきた。大都市圏の百貨店をはじめ郊外のモール等でも立体駐車場形式のところが多くスロープ地獄に陥る。

日本はクリアランスの低いクルマにとってはなかなか厳しい環境だらけなのだ。停める場所や進入する場所に躊躇してしまうこともしばしば。ま、ひたすら走って楽しむべきクルマだから、そんなところへGT3とかシャコタンで行くな! という話だが、裏を返せば出かける場所を考えねばならないクルマなのだった。

周りの公道シャコタン派に聞くとほとんど幹線道路、とくに高速道路での移動をメインに考え、行く場所を定めてから出かける人が多い印象。サーキットメインユースなら話は別だが(といっても自走だと段差に出くわす可能性大だが)、やっぱり、公道を走るならリフターは必需品といっても過言ではない。

さて、後日談になるのだが、フロントは少々のことでは擦らなくなったものの、じつはリアのディフューザー付きエンジンカバーは擦りまくっている。駐車場などの車輪止めに当たっているのだ。対策としては車輪止めからは少し離して駐車する作戦をとっている。バックモニターに映る最後部が車輪止めの上になったところで止めているのだ。

が、ビビり性ゆえに、場所によってはあまりに周囲のクルマから前部が突き出てしまうことがあってマナー面で気が引けてしまうことや、出入りする他のクルマに当てられるのではないか? みたいなシーンにも遭遇することから、擦るのを覚悟で後退することがじつは多い。ディフューザーはもはや部分的に削れていたり、曲がったりしている(笑)。

ちなみにこれ、991前期型911Rではじめて採用され、991後期型GT3から標準で装着されているパーツだ。エンジンを隠すプレート部分はアルミ製で、フィンは擦れることを想定してるようで樹脂製となっている。この組み合わせからして、「ここは消耗品と割り切ってね」とポルシェが言ってるような気がしてならない。フェラーリのようにドライカーボンをここにあえて採用しないところは、さすが走ってナンボのポルシェじゃないですか!

なお、現在の価格はアメリカで約960ドル、日本では約17万円なり。サーキットで他者とコンマ1秒を争うわけでもないし、もとよりその効果すらわからない腕前レベルである。それに外観からはあまり見えない部分だから、すっかり気にも留めなくなった(笑)。よほどボロくなったら交換するかもしれないが、サーキット専用にでもしない限り間違ってもここだけはドライカーボン製にしないです、きっと(笑)。

いざ公道へと出た瞬間、要点検の表示が! パ、パンクかっ!?

さて、これでようやく安心して外出ができる! なんせ納車からすでに1カ月弱も経過している。まるで乗れてなかったから、もう走らせたくてウキウキしていた。少し冷え込む空気の中、バボンとエンジンをかけ、ギュインとリフトさせ、駐車場から出た世界は眩しかった。プシュウっと車高を下げたとき、目の前を通りがかった奥さまらが、物珍しそうというより怪訝そうにGT3と筆者を見ていたが、オナラじゃないですから(笑)。まあ、おかしなクルマに映るんでしょうな。

しかし、そんな心の余裕やウキウキ気分はつかの間に終わった。駐車場のシャッターを下ろすのを忘れたため(自動で閉まらない!)、GT3を路肩に停めて、リモコン操作を終え「いざ!」と走り出した瞬間のことだった。なんと、いきなり「タイヤ要点検」の表示が! 空気圧モニターが現れ、左後輪が赤々と輝いているではないか! しかもいきなり空気圧-0.5 barだとぉぉぉぉ。低温だからか? それともパンクか? 一体何がぁぁぁ。

* * *

ようやく乗れると思ったその矢先にもしやパンク? 納車時もそうでしたけど、おっさん、かなりついていないですねぇ。ちょっとかわいそう。まずは神社かお寺で厄払いしたほうがよくない?

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