セダンとステーションワゴンの中間となるモデルだった
マークXの派生モデルとして2007年に登場したトヨタ「マークXジオ」。車名こそ「マークX」を名乗っていますが、プラットフォームは新MCプラットフォームを採用したFFモデルでした。搭載されるエンジンは2.4Lの直4と3.5LのV6が用意されていたのも特筆すべき点でした。
3列目シートはあくまでエマージェンシー用だった
残念ながらセダン需要の縮小もあって2020年に消滅してしまったトヨタのミドルクラスセダン「マークX」。「マークII」時代から数えれば51年の歴史を誇るものであるが、じつはマークIIには4ドアモデルのほかにステーションワゴンモデルも長らくラインアップされていた。2004年にマークXとなってからは、しばらく先代をベースとした「マークIIブリット」が併売されていたが、2007年9月に満を持してマークXの名を冠して登場したステーションワゴンモデルが「マークXジオ」だ。
2005年の東京モーターショーに展示されたFSC(フレキシブル・サルーン・コンセプトの略)の市販版とも言えるこのモデルは、セダンとステーションワゴン、そしてミニバンの中間に位置するモデルとされており、マークXの名前を冠するために高級感を併せ持つものとなっていた。
3列シート車ではあるものの、コンセプトが「4+Free」となっていることからも分かるようにメインとされるのは、2列目シートが独立したキャプテンシート仕様となる6人乗りモデル(2列目ベンチシートの7人乗り仕様もあり)。3列目シートはあくまでエマージェンシー用とし、通常は格納した状態でトランクスペース的に使うことをメインに考えられており、格納した3列目シートをカバーする立派なトノカバーまで用意されていた。
そんなマークXジオだが、短いボンネットからも分かるように、じつはセダンのマークXとは直接的なメカニズムの共通点はなく、縦置きエンジンFRレイアウトのマークXに対してジオは横置きエンジンFFレイアウトとなっていた。搭載されるエンジンも直列4気筒の2.4LとV型6気筒の3.5Lと全く別物となっている。
ただ3.5Lの2GR-FE型エンジンの最高出力は280psと、256psとなるマークXの3Lモデルよりもハイパワーとなっていた。6速ATのトランスミッションとの組み合わせは隠れた俊足モデルという評価もあった。
しかし、マークX風のフロントマスクとはなっているものの、FFレイアウトということもあってスタイリッシュなセダンとは程遠いずんぐりむっくりなスタイルとなってしまっていたことや、キャラクター的に中途半端となってしまったこと、そして2011年に非常に似通ったキャラクターかつハイブリッドモデルの「プリウスα」が登場したこともあり、2013年末に販売を終了。
当時、マークXは2代目モデルとなっていたタイミングだったが、ステーションワゴンモデルの後継車種は登場することなく、結局マークXジオは1世代のみで姿を消すこととなってしまった。