どんな土地でも必ず危ない運転をするドライバーはいる
ただし、じつはこうした傾向は、なにも愛知県に限ったことではない。例えば、筆者は福岡県の出身で、大学生まで地元にいた。クルマの免許もその時に取得したが、その時の運転経験でいえば、前述した「福岡の3秒ルール(黄色や赤信号でも交差点に突っ込む)」を行うドライバーだけではなかった。
とくに実家のある久留米市は、昔から「ワイルドな」運転をするドライバーが多いことで有名だったエリアだ。まさに、「名古屋走り」のごとく、「茨城ダッシュ」や「岡山ルール」など、さまざまな危険な運転のオンパレードを目にした。約35年前の話なので、現在ではどういう状況なのかは分からないが、SNSなどを見ると、やはり久留米ではドライバーの「運転は荒い」といった書き込みもある。懐かしい故郷なのに、その点だけは非常に残念だ。
また、現在は東京都町田市に住んでいるが、自宅周辺でも「名古屋走り」のような、さまざまな悪辣ドライバーは存在する。さらに、小学校の近くにあるスクールゾーンなどで、法定速度30km/hの細い道路を、通学時間帯にもかかわらず60km/hぐらいの速度で爆走する輩もいる。子どもが通学などに使う道路なのに、とても危険というのが分からないのだろうか。
ちなみに、警察庁が発表した令和5年(2023年)度中の交通事故死者数は全国で2678件。また、都道府県別の交通事故死者数ワースト5は
1位:大阪府 148件
2位:愛知県 145件
3位:東京都 136件
4位:北海道 131件
5位:千葉県 127件
となっている。
当記事では、あくまで、有名なローカル・ルールを紹介している。そのため、あまり有名なルールがない東京都や北海道、千葉県などについては、あえてご当地の運転傾向について紹介していない。だが、データを見る限り、それらのエリアでも重大な交通事故が多い、つまり何らかの危険なローカル・ルールも存在する可能性がある。
そう考えると、「この地域は危ない」とか、「この地域は安心」といった先入観も危険だ。どんな土地を運転する場合でも、必ず危ない運転をするドライバーはいると考え、気を抜かない方がいい(緊張し過ぎるのも逆に危険なので、ほどほどで)。
そして、そうした輩から自分や家族などの同乗者を守るためには、運転の基本マナーをきちんと守ることが重要だろう。例えば、前車との車間距離を十分に開けるとか、右左折時や交差点の進入時には周囲の交通や車両、歩行者などをちゃんと確認する等々だ。また、危なっかしい動きをするクルマには、できるだけ近づかないなどの配慮もあった方がいいだろう。
ともあれ、都道府県やエリア、休日や平日、昼間や夜間を問わず、つねに安全運転を心がける。それこそが、運転をする際に、一番の自己防衛策になるのではないだろうか。