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知らない土地を走るときは「ローカル・ルール」にご注意!「名古屋走り」や「茨城ダッシュ」の意味をご存知ですか?

自分や家族などの同乗者を守るためには、運転の基本マナーをきちんと守ることが重要

知らない土地のドライブは要注意! とっても危険な運転の「ローカル・ルール」

もうすぐゴールデンウィーク! 絶好のドライブ・シーズンが到来したことで、いろいろとドライブ旅行の計画を立てている人も多いでしょう。でも、こういうときにこそ気をつけたいのが交通事故。とくに初めて行く都道府県を運転するのであれば、地元の「ローカル・ルール」も知っておく方がいいでしょう。「ご当地ならでは」といえば聞こえはいいのですが、じつは交通法規などを無視した危険な運転を意味するものも結構あり、知らないと悲惨な事故に巻き込まれる危険性もあります。そこで、ここでは各都道府県の運転ローカル・ルールのなかでも、とくに有名なものをいくつか挙げて紹介します。

交差点の強引な運転

まずは、交差点で強引な運転をすることから名付けられたローカル・ルールを幾つか挙げてみる。

■「茨城ダッシュ」(茨城県)

交差点を赤信号で停車。その後、青信号に変わった瞬間、またはその直前(信号が青になる前など)に猛ダッシュで対向車線の直進車よりも先に右折する運転。

茨城県警が公式ウェブサイトで注意喚起をするほど、地元でもかなり問題となっているのが「茨城ダッシュ」。そもそも、交差点で右折する際は、青に変わっても対向車線の直進車が優先だ。また、青に変わる前に右折すれば、信号無視にもなる。さらに、右折した先の横断歩道を歩行者が渡っていれば、横断を妨害したり、最悪は人身事故になることもある。

しかも、こうした「茨城ダッシュ」を知らない他の都道府県から来たドライバーが、そんなクルマに出くわしたら、悲惨な右直事故にもなりかねない。もちろん、茨城で運転するときだけでなく、どんなエリアでも交差点での事故は多い。走行する際は、たとえ自分のクルマが直進であっても十分に周囲の車両などに注意し、信号が赤になりそうだったら、手前できちんと停止するように心がけたい。

■「伊予の早曲がり」(愛媛県)

「茨城ダッシュ」とほぼ同じで、交差点内では「直進車・左折車が優先」という交通法規を無視した運転。

■「松本走り」(長野県)

こちらも「茨城ダッシュ」と似ているが、対向車が左折待ちなどのとき、その後続車が直進するのがすこし遅れるなどで間隔が空いたときに、ダッシュで右折する運転。

信号の変わり間際に強行突破

次は、交差点などで、信号機が青から黄色や赤に変わる間際によくやる危険な運転だ。

■「阿波の黄走り」(徳島県)

交差点などで信号が黄色になった際に、アクセルをさらに踏み込み加速して通過する運転。

■「福岡の3秒ルール」(福岡県)

これも、黄色信号なのに加速する運転。さらに、赤信号になった後でも、3秒間ほど待たないと、交差点に直進するクルマが突っ込んでくる可能性があるといわれている。

■「大阪(関西)走り」(大阪府)

これも、信号系のローカル・ルール。「青と黄色は進め、赤は気をつけて進め」といった運転をするといわれている。

ウインカー系

次は、ウインカーを点灯させるタイミングなどに関するローカル・ルールだ。

■「岡山ルール」(岡山県)

右左折時に、ウインカーを点灯させないか、曲がる直前に出してほぼ点灯させない。

右左折や回転する時には、ウインカーを出すことは常識だ。また、点灯させるタイミングは、右左折しようとする地点または交差点の30m手前(転回=Uターンの場合は転回しようとする地点の30m手前)などと決まっている。

「岡山ルール」は、そんな基本ルールを無視する運転だ。他の都道府県から来たドライバーが、このルールを知らないと、前のクルマがいきなり右左折で減速してしまうことになり、自車のブレーキが間に合わず前車に追突してしまう可能性もある。くれぐれも、こうした場合も想定し、どんな道でも車間距離をきっちりと開けて走ることが重要だ。

複合型ローカル・ルール

地方によっては、とくに「これ」といった代表的なローカル・ルールはないが、幾つもの危険運転を常習的に行うドライバーが多いエリアもあるという。その例を紹介しよう。

■「名古屋走り」(愛知県)

運転歴が長いドライバーや、出張や旅行などで愛知県内をクルマで移動したことがある人であれば、一度は聞いたことがあるかもしれない「名古屋走り」。愛知県は例年、交通事故死者数が上位を占めることもあり、地元ドライバーによる「荒い運転」の悪名が、各地に轟いているようだ。前述の通り、とくに代表的なものはないが、主に以下のような傾向があるといわれる。

・直進で信号が黄色でも止まらない(「阿波の黄走り」などと同様)

・ウインカーを出さずに右左折(「岡山ルール」と同様)

・右折の早曲がり(「茨城ダッシュ」と同様)

・対向車が左折待ちの時に強引な右折(「松本走り」と同様)

などなどだ。

どんな土地でも必ず危ない運転をするドライバーはいる

ただし、じつはこうした傾向は、なにも愛知県に限ったことではない。例えば、筆者は福岡県の出身で、大学生まで地元にいた。クルマの免許もその時に取得したが、その時の運転経験でいえば、前述した「福岡の3秒ルール(黄色や赤信号でも交差点に突っ込む)」を行うドライバーだけではなかった。

とくに実家のある久留米市は、昔から「ワイルドな」運転をするドライバーが多いことで有名だったエリアだ。まさに、「名古屋走り」のごとく、「茨城ダッシュ」や「岡山ルール」など、さまざまな危険な運転のオンパレードを目にした。約35年前の話なので、現在ではどういう状況なのかは分からないが、SNSなどを見ると、やはり久留米ではドライバーの「運転は荒い」といった書き込みもある。懐かしい故郷なのに、その点だけは非常に残念だ。

また、現在は東京都町田市に住んでいるが、自宅周辺でも「名古屋走り」のような、さまざまな悪辣ドライバーは存在する。さらに、小学校の近くにあるスクールゾーンなどで、法定速度30km/hの細い道路を、通学時間帯にもかかわらず60km/hぐらいの速度で爆走する輩もいる。子どもが通学などに使う道路なのに、とても危険というのが分からないのだろうか。

ちなみに、警察庁が発表した令和5年(2023年)度中の交通事故死者数は全国で2678件。また、都道府県別の交通事故死者数ワースト5は

1位:大阪府 148件
2位:愛知県 145件
3位:東京都 136件
4位:北海道 131件
5位:千葉県 127件

となっている。

当記事では、あくまで、有名なローカル・ルールを紹介している。そのため、あまり有名なルールがない東京都や北海道、千葉県などについては、あえてご当地の運転傾向について紹介していない。だが、データを見る限り、それらのエリアでも重大な交通事故が多い、つまり何らかの危険なローカル・ルールも存在する可能性がある。

そう考えると、「この地域は危ない」とか、「この地域は安心」といった先入観も危険だ。どんな土地を運転する場合でも、必ず危ない運転をするドライバーはいると考え、気を抜かない方がいい(緊張し過ぎるのも逆に危険なので、ほどほどで)。

そして、そうした輩から自分や家族などの同乗者を守るためには、運転の基本マナーをきちんと守ることが重要だろう。例えば、前車との車間距離を十分に開けるとか、右左折時や交差点の進入時には周囲の交通や車両、歩行者などをちゃんと確認する等々だ。また、危なっかしい動きをするクルマには、できるだけ近づかないなどの配慮もあった方がいいだろう。

ともあれ、都道府県やエリア、休日や平日、昼間や夜間を問わず、つねに安全運転を心がける。それこそが、運転をする際に、一番の自己防衛策になるのではないだろうか。

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