史上もっとも可愛い軽トラ(?)
2024年2月24日(土)に茨城県城里町の「ホロルの湯」を会場に、第2回「軽トラ&スーパーカブ ミーティング」が開催されました。スーパーカブの愛好家団体が主催したユニークなイベントの会場から、今回はホンダが1970年に発売したマルチパーパスな軽自動車「バモスホンダ」のオーナーを紹介します。
このアンデスイエローの個体で所有2台目
「クルマは私にとって大型犬みたいなものですね」
愛犬の“チョコ”くん(トイプードル/3歳)を抱っこしながら、そのように話してくれた新作(にいさく)さんは取材時59歳。空冷2気筒エンジンを積んでいるホンダ車のことがとにかく好きらしく、この「バモスホンダ」のみならず、「N360」や「N III 360」など、いろいろコレクションしているそうだ。
「きょうは乗ってきませんでしたが、キャラバングリーンのバモスホンダも所有しています。かれこれ、もう35年も乗っていますね。15年ぐらい前に買ったこのアンデスイエローのバモスホンダは私にとって2台目ということになります。カタログに載っている仕様と同じになるように2年ぐらいかけて仕上げました」
生産台数はわずか2530台
バモスホンダは1970年から1973年まで生産されたフルオープンタイプの軽トラックで、ドアがないユニークなスタイルを採用。乗る人のアイデアによって用途の範囲が無限に拡がるクルマとしてデビューした。初代バモスホンダの型式は「TN360」で、これは走りに関するパーツが軽トラックの「TN360」から流用されたものだったことに由来する。軽トラックのTN360はマイナーチェンジの度に車名が変わっていて、参考までに列記すると、「TN360」(1967~1970年)、「TN III 360」(1970~1972年)、「TN-V」(1972~1975年)、「TN-7」(1975~1977年)といった推移だ。
新作さんが所有しているアンデスイエローのバモスホンダ4は1971年式なのでTN III 360用のエンジンが積まれており、キャラバングリーンのほうはTN-V用のエンジンが積まれているとのことだ。
バモスホンダは警備、建設現場、工場内運搬、電気工事、農山林管理、牧場など、屋外作業や配達といった機動性を必要とする仕事にピッタリのクルマとしてデビューしたが、オフロードカーのようなスタイルでありながら4WDの設定が無かったこともあり、ビジネスシーンで大活躍することはなかった。当初は輸出を含む生産計画が月産2000台とアナウンスされていたが、トータルで2530台ほどしかラインオフしなかったといわれている。
これからも動態保存していきたい
新作さんも多目的レジャーカー的な趣味車として2台のバモスホンダを活用しており、天気のいい日にドライブを楽しんだり、旧車のイベントや軽トラックをテーマとした今回のような催しに参加する際に乗っているそうだ。
「もうこれ以上愛車を増やす計画はないので、いま愛用しているクルマたちを動態保存していきたいです」
笑顔で今後の展望を話してくれた新作さんは、これからもバモスホンダ、N360、N III 360などに囲まれながら個性的なカーライフを満喫していくことだろう。