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スズキ「アルト」が累計506万台! インドで日本より短い40年4カ月で3000万台の生産を成し遂げた理由とは

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TEXT: AMW 竹内耕太(TAKEUCHI Kota)  PHOTO: SUZUKI/MARUTI SUZUKI

アルトもワゴンRも日本とは違う! 大胆なローカライゼーションがスズキの強み

ところで今回のスズキのプレスリリースに添えられた資料として、インドでの累計生産台数モデル別ランキングがあったので抜粋して紹介しよう。

第5位がスイフトのセダン版「ディザイア」で286万台、第4位が1980年代のスズキ大躍進の立役者であるマルチ800で291万台、第3位の「ワゴンR」で318万台、第2位のスイフトが319万台。そして1位は、「アルト」で506万台となっていた。

日本でもなじみ深い「ワゴンR」や「アルト」だが、じつは現在インドで販売しているのはもはや日本の軽自動車とは関係ない、インド独自のモデルだ。

インド版ワゴンRは1999年デビューの初代や2010年導入の2代目まではプラットフォームを軽自動車のワゴンRと共有していたものの、2019年からの現行3代目では「イグニス」のプラットフォームを採用し、全長3655mm×全幅1620mm×全高1675mmと、軽規格に比べるとずいぶん大きなサイズとなっている。

インド版アルトは、元祖インド国民車のマルチ800からの系譜を継ぐコンパクトカーだが、かの地で「アルト」の名を冠したモデルが登場したのは2000年から。その初代インド版アルトは日本の5代目アルト(HA12型)に800ccまたは1000ccのエンジンを積んだ成り立ちで、ハイパワーな1000cc仕様は「アルトK10」の名を与えられた。2012年からの2代目は先代のプラットフォームを流用した進化版で、800cc仕様が「アルト800」、1000cc仕様が「アルトK10」の名で販売された。

そして2022年にフルモデルチェンジした現行の3代目では、小型SUV「エスプレッソ」と共有のHEARTECTプラットフォームで一新され、名前も再び、800ccが「アルト」、1000ccが「アルトK10」とシンプル化されている。

これらの変遷を経ながら、2000年から2024年3月までの「アルト」シリーズが累計506万台。ちなみに日本では1979年から同名の軽自動車が累計生産台数500万台を達成したのが2016年12月のことで、足かけ47年だ。

AMWノミカタ

日本では2023年の軽自動車販売台数でダイハツを抜いて18年ぶりに首位に返り咲いたスズキ。その一方でインド市場では日本とは全く異なる独自のラインアップを展開して、今はふたたびシェア50%以上を狙って大規模な投資に取りかかっている。これほど大胆なローカリゼーション戦略がとれるのも、いち早く参入したインドが世界有数のマーケットに成長し、まだまだポテンシャルを残しているがゆえ。40数年前にインド政府の手を握った鈴木 修氏の慧眼が今の隆盛をもたらしたといえるだろう。

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  • AMW 竹内耕太(TAKEUCHI Kota)
  • AMW 竹内耕太(TAKEUCHI Kota)
  • 田舎の大学院で古代インドのサンスクリット語を研究していた元・学者の卵。クルマ遊びにハマって中古車販売店で1年働いた後に出版業界へ。クルマやカルチャー系の雑誌のほか、翻訳書、人文書、地図帳、写真集など手がける。クラシック・フォルクスワーゲンが趣味の中核で、愛車は1963年式カルマンギア。数年前に都内から小田原へ移住し、賃貸ガレージハウスでリモートワークしつつ、箱根や伊豆のワインディングをのんびりドライブする日々。
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