無名ながら素晴らしい景色を味わえるシットグリーブパス・ビューポイント
点在するビューポイントはどれもこれも一見に値するが、すべて立ち寄っていると結構な時間が経過してしまう。絶対に外したくないのは最標高地点(約1082m)に近い「シットグリーブパス・ビューポイント」だ。他に比べて駐車スペースは余裕があるため長居できるし、国立公園でも国定公園でもない無名の場所でありながら、個人的にはアメリカで5本の指に入るほど好きな景色だ。
正直いって壮大さや珍しさだけでいえば、ここを上まわる眺めはいくらでもあるはず。理由は分からないが不思議と心が落ち着く場所で、同じように感じている人は意外に多いらしい。その証拠が無数に建てられた小さな十字架や石碑だ。峠道での死亡事故が多いと勘違いしている人もいるようだが、添えられたメッセージを読めばすぐに誤解だと分かる。遺灰を自分が愛した場所から風に流して欲しい、ここから家族や友人を永遠に見守りたいなど、優しさと愛情が込められた内容ばかりなのだ。
手ごろな石に腰かけ心を空っぽにしてオートマンや遠くの山々を眺めるのも、私にとってルート66の旅における大切なルーティーンのひとつだったりする。シットグリーブパスを過ぎればオートマンまでは10分と少々。次回はゴールドラッシュに沸いた当時と雰囲気こそ異なれど、大勢の観光客と山から来訪する珍客で早朝から賑わっている、オートマンで身体を休めつつ街をブラブラ散策してみたい。
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