「これまで以上に乗り心地を良くしたかった」
午後のセッションは、セビリアの市街地から西へ約50kmのところにあるモンテブランコサーキットにて、最上位グレードとなるプラグインハイブリッドモデルの「ターボEハイブリッド」を試す。総出力は680ps、最大トルクは930Nmを発揮。0-100km/h加速3.2秒はまさにスーパーカー並み。ちなみにポルシェはこの新型パナメーラからターボモデルのクレストをゴールドにかえてメタリックグレーに変更する。その名は「Turbonite(ターボナイト)」。接尾語の「-ite」は石の意味だ。
サーキットでは、その速さはもちろんだが、Eハイブリッドモデルにオプション設定される「ポルシェアクティブライドサスペンション」の体験に重点が置かれた。これは新開発のアクティブショックアブソーバーに、前後アクスルのそれぞれに配置された電動式の油圧ポンプを接続したもので、ボディの動きに応じてダンパー内に瞬時に正確なオイル流量を発生させることが可能。この油圧ポンプは400Vシステムによって駆動するため、Eハイブリッドモデルのみの設定となっている。
まずこのシステムを使って乗降性を高めるため車高を上下させる。ドアを開けると、瞬時に車高が5.5cm跳ね上がる。閉めればスンと下がる。あまりにも速く動くので驚いた。そしてハイブリッドモードにすると、加速時のフロントリフトやブレーキング時のノーズダイブをなくし、コーナリング時にはまるでバイクが内側に倒れ込むように内輪側を沈みこませ、外輪側をもちあげるアクティブチルトコントロールまでを駆使してつねにボディを水平に保つ。波板の上を50km/hで走りぬけたり、パイロンスラロームなどを試したが、これまで味わったことのない未体験のフラットさだった。
この複雑なサスペンションシステムの開発意図を開発者にたずねてみたところ、
「パナメーラはこれまで以上にもっと乗り心地を良くしたかった。そのためにはスタビライザーをなくして、4輪を独立して制御する必要があった」
と教えてくれた。新型パナメーラは、最新技術をもってコンフォート性とスポーツカー性との振り幅をこれまでにないほど拡大している、ラグジュアリースポーツカーなのだ。