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ポルシェ新型「パナメーラ」に試乗! 常に水平を保つ未体験の走りに驚愕…PHEVは1669万円から

未体験のフラットさを実現したパナメーラ

3代目へと進化した「グランドツーリングカー」のポルシェ「パナメーラ」。コンフォートとスポーツを両立させたラグジュアリーサルーンにスペインで試乗しました。ベーシックモデルに加えトップモデルとなるPHEVで、最新サスペンションによる未体験のフラットさを体感してきました。

8年ぶりのFMCでこれまでにない走りに進化

ポルシェ パナメーラが8年ぶりに3世代目へとフルモデルチェンジした。パナメーラは2009年のデビュー以来、約15年の歴史を重ねてきた。車名の由来は1950年代にメキシコで行われた公道レース「カレラ・パナメリカーナ・メヒコ」。そこからも読み取れるように、ポルシェのラインアップにおいては、4ドアで大人4人が快適にすごせる空間を有した「グランドツーリングカー」というポジションにある。

新型の国際試乗会は、2024年2月下旬、温暖な気候に恵まれたスペイン南部、アンダルシア州の州都セビリアで行われた。出発地点である市内のホテルには、ベースモデルのパナメーラが用意されていた。ボディサイズは、全長5052mm×全幅1937mm×全高1423mm。ホイールベースは2950mmで先代とほぼ変わらない。エクステリアでは、フェンダーの峰が「911」や「718ケイマン/ボクスター」のように高くなり、4つのモジュールが特徴的なLEDヘッドライトのエッジが鋭くなり全体的にシャープさが強調されている。ナンバープレートホルダーの上に新たに追加されたエアインレットは、先代とのわかりやすい識別点だ。ちなみにワゴン版であるスポーツツーリスモはこの3世代目では設定されないようだ。

インテリアは「タイカン」にはじまった最新のデザイントレンドを踏襲する。メーターはひさしのない自立型の12.6インチディスプレイで、オプションでヘッドアップディスプレイや助手席用ディスプレイも用意されている。オートマチックトランスミッションのセレクターレバーは、センタコンソールからステアリングホイールの右側奥に移設された(右ハンドル仕様では逆の配置になる)。したがってセンターコンソールまわりからはスイッチ類などが省かれスッキリとした。

リアシートは身長約180cmの大人でも十分にくつろげるスペースがある。ベースは4シーター仕様で、オプションで4+1席を選択することも可能。荷室容量は「パナメーラ/パナメーラ4」が494~1328L、「パナメーラ ターボEハイブリッド」が421~1255L。後席は40:20:40の分割可倒式となっている。

大きさを忘れるほどの軽快さ

パナメーラと4輪駆動のパナメーラ4に共通のエンジンは、2.9LのV6ターボ。ブーストアップなどの改良により先代比で23ps/50Nmアップの最高出力353ps/最大トルク500Nmを発揮。トランスミッションは8速PDKを組み合わせる。セビリアの市街地を、全長5m超であることを忘れさせるほど軽快に走る。PDKの低速域でのふるまい、そしてシフトチェンジの速さ&なめらかさに驚く。どうやら新型では911と共通のものを使っているという。

足まわりには、ポルシェアクティブサスペンションマネージメント(PASM)を備える2チャンバー、2バルブ技術のエアサスペンションを標準装備する。これによってダンパーの伸び側と縮み側とを別々に制御し、コンフォートとスポーツとの振り幅を拡大する。石畳のような道でもショックを大幅に吸収し、高速区間では抜群の直進安定性をもってひた走り、ワインディング区間では操舵に対してまさに意のままに動く。

「これまで以上に乗り心地を良くしたかった」

午後のセッションは、セビリアの市街地から西へ約50kmのところにあるモンテブランコサーキットにて、最上位グレードとなるプラグインハイブリッドモデルの「ターボEハイブリッド」を試す。総出力は680ps、最大トルクは930Nmを発揮。0-100km/h加速3.2秒はまさにスーパーカー並み。ちなみにポルシェはこの新型パナメーラからターボモデルのクレストをゴールドにかえてメタリックグレーに変更する。その名は「Turbonite(ターボナイト)」。接尾語の「-ite」は石の意味だ。

サーキットでは、その速さはもちろんだが、Eハイブリッドモデルにオプション設定される「ポルシェアクティブライドサスペンション」の体験に重点が置かれた。これは新開発のアクティブショックアブソーバーに、前後アクスルのそれぞれに配置された電動式の油圧ポンプを接続したもので、ボディの動きに応じてダンパー内に瞬時に正確なオイル流量を発生させることが可能。この油圧ポンプは400Vシステムによって駆動するため、Eハイブリッドモデルのみの設定となっている。

まずこのシステムを使って乗降性を高めるため車高を上下させる。ドアを開けると、瞬時に車高が5.5cm跳ね上がる。閉めればスンと下がる。あまりにも速く動くので驚いた。そしてハイブリッドモードにすると、加速時のフロントリフトやブレーキング時のノーズダイブをなくし、コーナリング時にはまるでバイクが内側に倒れ込むように内輪側を沈みこませ、外輪側をもちあげるアクティブチルトコントロールまでを駆使してつねにボディを水平に保つ。波板の上を50km/hで走りぬけたり、パイロンスラロームなどを試したが、これまで味わったことのない未体験のフラットさだった。

この複雑なサスペンションシステムの開発意図を開発者にたずねてみたところ、

「パナメーラはこれまで以上にもっと乗り心地を良くしたかった。そのためにはスタビライザーをなくして、4輪を独立して制御する必要があった」

と教えてくれた。新型パナメーラは、最新技術をもってコンフォート性とスポーツカー性との振り幅をこれまでにないほど拡大している、ラグジュアリースポーツカーなのだ。

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