限定生産される最後の1台が完成
ビッザリーニというイタリアのブランド、もしくはエンジニアの名前をご存知でしょうか。1965年のル・マンでクラス優勝を果たしたことをご存知の方なら、このモデルが目利きによって発掘されレストアされたモデルと思うかもしれません。ここで紹介するクルマは、じつはそのモデルを忠実に再現したレプリカ。ビッザリーニ・ブランドを再興するべく、まぎれもないモダンカーとして位置づけられています。
現代のスーパーカーに匹敵するパワーウェイトレシオを実現
2020年に新オーナーのもとで復活した「ビッザリーニ」から、レプリカモデル「5300GT コルサ リバイバル」が発表されてから24カ月。限定24台が生産される中の最後の1台が2024年4月15日に完成した。これは1965年のル・マン24時間レースでクラス優勝を果たした実車を忠実に再現したもので、ビッザリーニ・ヴェルデ・ボスコ・ヴェンティクワトロ(VBV)と呼ばれるグリーンのボディカラーはアメリカのコレクターが所有する個体のパネルに残ったカラーをサンプリングしたという。
1964年に発売された「5300GT コルサ」のパワートレインはアメリカンV8を採用していた。というと、多くの好事家はフォードV8を搭載していたデ・トマソ「パンテーラ」を連想するだろう。ただし、このアメリカンV8はフォードではなく、シボレーの5.3Lエンジンを搭載していた。
リバイバルモデルはオリジナルと同様にフロントミッドエンジンレイアウトで、創設者でありエンジニアのジョット・ビッザリーニ氏が開発した革新的な独立懸架リアサスペンションを装備。V8エンジンも往年と同じく5.3Lで400psを発揮し、現代のスーパーカーに匹敵するパワーウェイトレシオを実現している。
リバイバルモデルのプロトタイプ1号車のボディは、かつてこのモデルのために開発されたボディカラー「ロッソコルサ222」でペイントされ、現代設計のスチールフレームに軽量の一体式カーボン複合ボディを被せられていた。2シーターのインテリアは、FIAレギュレーションに準じた6点式ロールケージに守られる。また、クラシックなレーシングカーを現代に再現するときの最大の難点でもあった安全タンクは、複雑な形状にCADデザインされて衝突安全を確保していた。