誰もが日常的に使える柔軟さがある
その高効率バッテリーの性能を活かしながら、エンジン出力や駆動力配分、回生ブレーキ、シャシーなどを緻密に統合制御してくれる。それら一連の制御はとても自然なもので、ドライバーが運転中に意識することはない。
システムトルクは1020Nm、0-100km/h加速は3.4 秒と、スーパーカー並みのスペックだが、暴力的な速さや危うさのようなものは感じない。また4輪それぞれを電子制御する連続可変ダンピングシステムを備えたAMG RIDE CONTROLサスペンションによる乗り心地のよさがより一層洗練された印象を引き立てている。さらに後輪操舵システムのリア・アクスルステアリングを標準装備したことで中高速域での安定性と、駐車するシーンなどでの取り回しのよさが向上している。かつての63にあった暴力的な排気音も、路面等の凹凸を頻繁に拾う硬い足も備わっていない。とくに意識しなければ、誰もが日常的に使える柔軟さがある。
いまやF1のパワーユニットも1.6Lターボエンジンに2つのモーターを加えたハイブリッドシステムだ。かつての甲高いエキゾーストノートは聞かれなくなったけれど、燃費をはじめ高効率になり、タイムは年々速くなっている。見た目はふつうのCクラスだけれど、中にはF1由来のハイテクを詰め込んだ、新しい時代の「羊の皮を被った狼」なのだ。