当時の技術の粋を集めた装備が満載だった
1991年に登場した3代目トヨタ「ソアラ」は、それまで5ナンバーだったボディを全車3ナンバー化し、レクサスで販売されるクーペとして開発されていました。エクステリアは、先代までは角張ったデザインを採用していましたが、丸みのある優しいスタイルでソアラのイメージを一新し、話題を集めた1台でした。
乗用車初のハイドロニューマチック式サスペンションを採用
トヨタ「ソアラ」といえば1981年に初代モデルが登場し、当時のトヨタの技術の粋を集めた高級パーソナルクーペとして人気を博したクルマ。最上級グレードは当時の「クラウン」の最も高額なグレードをも上回る価格となっていたが、それでも多くのユーザーが憧れを抱くモデルとなっていた。
そんなソアラの3代目となるモデルは1991年に登場したが、この世代からは北米地域で先んじて展開されていた高級ブランド、レクサスで販売されるクーペとして開発されていた。デザインもカリフォルニア州に拠点を置くCALTYで行われ、1991年6月から「レクサスSC」として北米地域で販売されている。
名機と呼ばれる1JZ-GTE型エンジンを搭載し、5速MTも用意された「2.5GT」系が現在では人気となっているが、当時は高級クーペとして「セルシオ」にも搭載されたV8 4Lの1UZ-FE型エンジンを搭載した「4.0GT」系がメイン。トップグレードとなる「4.0GTリミテッド」にはやはり当時の技術の粋を集めた装備が多く採用されていたのだ。
その代表的なものが「電子制御エアサスペンション」で、これは走行条件に応じてバネ係数、減衰力および車高を自動制御するというもの。
さらに4.0GTリミテッドに設定されていた「アクティブサスペンション仕様車」には、量産市販される乗用車としては初めて、コイルばねを使用しないハイドロニューマチック(油空圧)式アクティブコントロールサスペンションを搭載。その他にも、車速センサー、舵角センサーに加え、急激な車両の偏向を瞬時に検知するヨーレートセンサーを世界で初めて採用した、後輪の自動操舵システムのアクティブ4WSも採用され、ゆとりをもって操る歓びを高次元で味わうことができるものとなっていた。
ただそれだけに価格は非常に高額となっており、4.0GTリミテッド エレクトロマルチビジョン装着車が545万円だったのに対し、同アクティブサスペンション仕様車は745万円と実に200万円高となっていたのである。
しかし、3代目ソアラが登場したタイミングはすでにバブル景気が崩壊した直後であり、高額な4Lモデルの販売は伸び悩むこととなり、1994年1月に実施されたマイナーチェンジのタイミングで4Lモデルはラインナップから消滅。かわりに直列6気筒3Lの2JZ-GE型エンジンを搭載する「3.0GT」系が追加となった。
なお、北米仕様のレクサスSCはデビュー時に4Lエンジンを搭載する「SC400」のみが販売され、1992年7月に3Lエンジンを搭載する「SC300」を追加。日本仕様にあった2.5Lモデルはラインナップされず、4代目にフルモデルチェンジされるまでこの2種類のエンジンラインナップで販売が続けられた。