最悪は車両火災につながることも
昔から愛車のカスタムとして定番なのが社外マフラーへの交換です。パワーやトルクの向上はもちろん、一番わかりやすいところでは排気音が変わります。その昔は現在と違い、車検に通らないマフラーなどもあり、乱暴なカスタムをされた例もありました。
マフラー交換はチューニングの第一歩だが……
社外マフラーへの交換は、昔から愛車カスタムの定番。マフラーエンド部のドレスアップはもちろん、排気サウンドを好みの音質に変えたり、排気効率アップによるトルクやパワーの向上など、さまざまな効果が望めることで、根強い人気を誇っている。
最近の社外マフラーは、厳しい騒音防止規制などに対応した製品を選び、取り付けなどもしっかり行えば、交換してもとくに問題は起きないし、効果もしっかり享受できる。だが、その昔は、かなり適当な製品もあったし、乱暴なカスタムを行うユーザーもいたことで、結果的にかなり「痛い目」に遭った場合も多かった……。
ここでは、2000年〜2015年頃、筆者がカスタム雑誌の編集長時代に見聞きした「ダメ」な社外マフラー交換エピソードをいくつか紹介する。
爆音なのに遅くなるマフラー
最近はあまり見なくなったが、昔はかなりの「爆音」を出す社外マフラーを付けているユーザーも多かった。ところが、「これだけ大音量なら、パワーもかなりアップするだろう」と喜んでいたところ、じつは音が凄いだけ。走ってみると、ノーマルよりも遅くなってしまったというケースもあった。
これは、ただ「音が大きい」だけの「偽スポーツマフラー」もかなり市場に出回っていたためだ。今なら、設計や開発、テストなどをきちんと行っているアフターメーカー製のスポーツマフラーであれば、確実に性能アップを望めるし、排気音量も規制値をクリアしている。しかも、多くが車種別設定だから、愛車の特性にちゃんと対応してくれる。だが昔は、なんちゃって製品も多く、そういった社外マフラーを付けてしまうと、アクセルのレスポンスが悪く遅くなるのはもちろん、燃費もガタ落ちしてしまうという結果を招くこともあったのだ。
ちなみに、社外マフラーで性能アップを望むのであれば、エンド部だけでなく、やはり排気マニホールド(通称タコ足)なども含めたフルタイプに交換する方がいい。また、よりこだわるのであれば、ECUもチューニングし、適正な燃料供給量の調整なども合わせて行えば、より社外マフラーの効果を引き出すことが可能だ。気になる場合は、装着時にショップへ相談することをおすすめする。
近所から苦情が来るマフラー
これも排気音にまつわる話だが、今度はお気に入りのマフラーを発見し愛車に装着したところ、思ったより音が大きく、近所から「うるさい!」と苦情が来たというケースだ。爆音系ユーザーには確信犯もいたが、こちらの場合、本人に悪気はなかったがご近所の手前、結局ノーマルに戻すなんてことも多かった。
前述の通り、最近のきちんと作られた社外マフラーなら、排気音量の規制などをクリアしているため、問題ない。だが、例えば、旧車などに乗っていて、マフラーも昔売っていたものをネットなどで購入した場合は注意したい。昔のマフラーには、現在の音量規制をクリアしていないものも多いからだ。また、ネットオークションでノーマルの中古品などを購入したところ、劣化した粗悪品で、排気音が大きくなってしまっているケースも考えられる。
あくまで、マフラーは消耗品。ノーマルであれ、社外品であれ、長年使ったものだと、きちんと消音効果を出せないなど、性能が劣化する可能性は高い。アフターメーカーのなかには、自社製マフラーのリビルトサービスを行っているところもある。もし自分が付けた社外マフラーが古いタイプなどで、排気音量や性能などに問題がありそうであれば、製造メーカーに相談してみるのも手だ。
ゆらゆら系マフラー
走行中に、リアバンパーから伸びたマフラーのサイレンサー部が「ゆらゆら」と揺れているクルマ。これも昔は結構いた。この原因の多くは、車種に適合していないマフラーを「適当に」装着したためだ。専用のステーなどで取り付けていないことで、しっかりと固定できていなかったのだ。なかには、針金でマフラーをまるで「ぶら下げる」ように付けていた強者もいた。
いずれにしろ、そんな適当な取り付けでは、まず見た目が悪い。ましてや、走行中に大きな段差を超えた際などの衝撃で、マフラーが落ちてしまう危険性さえある。そうなると、他の車両や歩行者などに当たり、大事故を招く原因にもなる。
とくに、DIYでマフラーを交換する場合は、くれぐれも取り付けは慎重に。自分では難しい場合は、やはり専門ショップなどに依頼することをおすすめする。