キュートなアウトドアカーが誕生
旧き佳き時代のテイストを残しつつ、現代らしさをミックスさせる手法を得意とするのが千葉県に所在する「フォレストオート」です。このようなカスタムのアプローチについては、「温故知新」という四字熟語にもたとえられますが、フェレストオートのカスタムは、そこに実用性をしっかりと兼ね備えることを大切にしています。
フォレストオートならではのアイデアと高いカスタム技術
東京オートサロン2022にフォレストオートが出展したビーチカーのことを覚えているだろうか。フォレストオートは、ダイハツ「フェローバギー」をベースにウッドパネルをふんだんに使い、オープンエアな1台を製作したのだ。加えて出展したもう1台は、スバル「360」をベースに、オレンジにアイボリーの夏らしいカラーに加えて、ルーフトップをウッド・スリット・ルーフにしたビーチバンを完成させた。その可愛らしいルックスとともに遊び心満点のリゾートビークルが話題となった。
ここで紹介する2台のスズキ「エブリイ」は、フォレストオートならではの鋭いセンスによって誕生した後継モデルと呼べる車両だ。アイボリーとオレンジのカラーでまとめた「エブリイ」は、ビーチバンをテーマにした「360」からインスピレーションを受けて製作。もう1台のアイボリーにワインレッドでまとめた「エブリイ」は、「フェローバギー」のカラーリングを落とし込んでいる。
今回のテーマはビーチカーではないが、その流れをくむ「キュートなアウトドアカー」として作り込まれているのが特徴。そこにはフォレストオートならではのアイデアと高いカスタム技術が注がれている。
オリジナルのリフトアップスプリングを装着
アウトドアにオフロードは付き物。大自然のど真ん中に飛び込むからこそ、楽しいのだ。そうした理由から、見た目だけのカスタムではなく、実用的なリフトアップ車のニーズが高まっていて、フォレストオートでは悪路走破性を向上させる「FAFリフトアップスプリング」をリリースしている。このスプリングは、15年前の2009年に農業を営む友人からこのような相談を受けたことをきっかけにリフトアップさせる発想が生まれたという。
「軽トラでも悪路を走れたら便利なんだけどね」
車高を極端に上げてしまうとクルマが不安定な動きになり、オフロード車によく見られる分厚いタイヤを履かせても横転のリスクが高まる。そのうえ、タイヤの単体重量が増して坂道で登れなくなったり、ブレーキの効きが悪くなるなどの危険がある。そうしたデメリットを減らし、あらゆるバランスを考えたリフトアップスプリングを製作した。「FAFリフトアップスプリング」はこの2台の「エブリイ」にも取り付けてられている。
優しい光が差し込むように設計
遊び心あふれる外装リメイクについてはカラーリングだけでなく、前後バンパーにも注目してもらいたい。装着しているキットはオリジナルで、ただデザインがお洒落というだけでなく、そのモチーフがスズキ初代「ハスラー」なのがユニークだ。このような経緯から、この車両のネーミングは「FAFエブラー」となった。
それぞれ仕様の異なる2台について説明しよう。まず、アイボリー×ワインレッドの「FAFエブラー」は、ブロックタイヤを装着し、悪路を駆け抜けるワイルドな1台として製作。リアにはヒッチメンバーを取り付けて、林道遊びだけでなく、トレーラーを牽引してサーフ遊びもできる仕立てになっている。
一方、鮮やかなオレンジ×アイボリーの「FAFエブラー」は、ヒノキ材を使用したサンシェードとキャンバストップを採用する。その工程は、ルーフ形状に合わせて孤を描いた型を取り、それにヒノキ板を接着しプレスで圧着する。手間のかかる手法によって製作するキャンバストップは、日本が誇る伝統文化を表現している。室内からは、木漏れ日のような優しい光が差し込むように設計されているのもポイントだ。
室内には、2台ともベッドキットを装備し、より快適に過ごせるようにオリジナル製作のキャビンマットもセット。持ち前の木工技術を活かし、サイドガラスにヒノキ製のルーバー付きサンシェードを装備。さらに、サイドキャビネットにはスマホのスピーカーを増幅させるエンクロージャーを装備させるなど、アイデア満載だ。
木の香りが漂う落ち着きのある室内空間の中で、好きな音楽を聴きながら過ごすひと時は格別だろう。フォレストオートのカスタムは、天然木材をたくさん使用し、センス良くお洒落にまとめ上げるからこそ見ごたえがあるのだ。