さまざまな制御コントロールが可能な『F-CON V Pro』
ハイレベルなプロチューナー向けのフルコンピュータHKSの『F-CON V Pro』は、燃料系、点火系のベースマップの制御と補正を行い、さまざまな制御コントロールを可能とするコンピュータとして知られています。基本となる初期データの設定が無いので、HKSのパワーライター店(F-CON V Pro取扱店)における設定(セッティング)が必要なモデルとなっています。新型車の進化とともにリリースが遅れていましたが、『F-CON V Pro+』として発売。その開発の最前線に迫ります。
(初出:XaCAR 86&BRZ magazine Vol.043)
サーキットアタックの武器になるフルコンが着々と発売の準備を進めている
国産フルコンの代名詞として知られるHKSのF-CON V Pro。時代の移り変わりとともにアップデートを重ね、現在販売しているVer3.4ではより高度な燃料、点火制御を実現する。さらに点火カットによるレブリミット機能を搭載するなど機能を充実させている。
しかし百年に1度の変革期といわれるクルマ業界。新型車の進化は著しく、可変バルタイや電子スロットル、そして直噴インジェクターなどの新技術が続々と登場し、その対応が遅れたF-CON V Proは、徐々に存在感を薄めていたのは否めない。
またCAN通信の普及も、コンピュータの解析を進めるにあたり大きな壁として立ちふさがった。なぜなら、あらゆる情報を統合制御している新型車では、下手にデータを変更すると車両が故障していると判断。強制的にパワーダウンさせる……というようなトラブルも起きがちだからだ。
とはいえ大幅なパワーアップを図るには、エンジン制御データの最適化は必須項目。HKSでは水面下で最新制御に対応したF-CON V Proの開発を進め、2024年内中にリリースできるメドが立ったという。その名も『F-CON V Pro+』。現在、スーパーチャージャー仕様の86開発車両がこれで作動し、実車での評価を重ねている段階。まずは86/BRZ用からリリース予定とのことだ。
直噴インジェクターの制御に対応するモデルになる予定
トピックはF-CONシリーズではじめて直噴インジェクター制御に対応したこと。また電子スロットル(2系統)や可変バルタイのマネージメントにも対応と、新型エンジンを支配下に置くことが可能となっている。
従来のF-CON V Proは純正コンピュータと併用するのが基本だったが、F-CON V Pro+では純正コンピュータを取り外して差し替えるプラグインタイプへと進化。車種別設計とすることで、CAN通信の統合制御にも対応している。そしてマイコンの動作クロックについても従来品の4倍以上と格段に速くなっており、これまで以上にきめ細やかなエンジン制御が可能に。セッティングを詰めればレスポンスの向上も期待できる。
さらにボディは軽さと耐久性に優れるマグネシウム合金を採用。2023年に参考出品したモデルよりも15%小型化を果たしたスタイリッシュなデザインが好印象だ。海外製フルコンの台頭も著しいが、やはり日本車は純国産フルコンで制御したいという人も多いだろう。F-CON V Pro+は間もなく発売の予定とされているので、ますます期待が高まるばかりだ。
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