電子制御を駆使し最高峰のパフォーマンスを引き出す
固定ギアレシオの車速感応型パワーステアリングを採用。ラック&ピニオン式ステアリングは、13.6:1の固定ギアレシオを採用し、スーパースポーツ特有のクイックかつダイレクトなステアフィールを常に提供してくれる。車速に応じてアシスト量が変化するパラメーターステアリングにより、速度が上がるにつれてドライバーへのフィードバックを高める。これは高速での直進走行時に極めて重要な要素となる。ステアリングギアはエンジンの前側、フレームタイプのインテグラルサポートにマウントされ、エンジンの搭載位置を低くすることにも貢献している。
スポーツモード付き3ステージのESP(エレクトロニック・スタビリティ・プログラム)を採用。シフトレバー橫のESPスイッチで3つのモ-ドを切り替えることができ、選択したモードはマルチファンクションディスプレイに表示される。
ESP ONモードでは、ハンドリングが不安定になるとひとつ以上のホイールに対してブレーキ介入を行うとともに、エンジントルクを絞る。ESP SPORTモードはESPキーを短時間押すと起動。このモードでは、オーバーステアやアンダーステアを修正するブレーキ介入とエンジントルクの制御機能が作動する限界値が高くなり、例えばより大きなドリフトアングルを許容するようになるなど、はるかにダイナミックな走りを楽しむことができる。ただし、ブレーキペタルを強く踏むとただちに通常モードであるESP ONモードに戻る。
ESP OFFモードはESPキーを押し続けると起動。このモードでは、ハンドリングをコントロールする介入動作やエンジントルクの低減は行われないため、ドライビングスキルを最大限に発揮できる。ESP OFFの時はプレセーフの機能(事故が起こる0.2秒前の予測乗員保護安全性)は解除される。ただし、このモードでもブレーキペダルを強く踏むと通常のESP ONモードに戻る。
ASR(アクセレレーション・スキッドコントロール)のトラクション機能は3つのESPモードすべてにおいて作動する。センサーが駆動輪を常に監視し、いずれかが空転しそうになると適切なブレーキ圧を加え、もう一方の駆動輪のトラクションを大幅に改善する。また極めてダイナミックな走行時のトラクション確保には、標準装備の機械式多板LSD(リミテッド・スリップ・ディファレンシャルロック)も大きく貢献し、エンジン出力が路面へ伝達する効果を高めてくれる。
圧倒的なスピードを一気に減速させるブレーキシステム
「ブレーキを制するものは、自動車も制する」といわれるほど、止まる性能は重要である。先述の通り、新設計したエンジンM159を搭載し、スーパースポーツカーにふさわしい圧倒的な高性能を発揮するのに対し、止まるという重要な性能を発揮するために、ブレーキにはAMGハイパフォーマンスコンポジットブレーキを採用している。
フロントには6ピストンキャリパー、リアに4ピストンキャリパーと大径の鋳鉄製ドリルドベンチレーテッドディスクを組み合わせ、非常に大きな負荷の下でも制動距離を大幅に短縮し、優れた制動力と正確なコントロール性を発揮する。
フロントには直径390mm、厚さ36mm、重量13.5kg、リアには直径360mm、厚さ26mm、重量10.6kgのベンチレーテッドディスクを採用。オプション装備として、レース用スペックのAMGカーボンセラミックブレーキを設定し、AMG CARBON CERAMICの文字が入った専用色のキャリパーを備えている。
このカーボンセラミックブレーキは、1700℃という高温での真空強化処理が施され、硬度が高められ耐フェード性も優れ、圧倒的なストッピングパワーを誇り安全性を高めている。しかも鋳鉄製のノーマルディスクに対して約40%軽量となっており、バネ下重量の低減による俊敏なハンドリングと快適性の向上にも貢献している。加えて極めて硬いため、一般的なディスクに比べて長寿命である。とくにフロントディスクは大径化され、直径402mm、厚さ39mm、重量7.9kg、リアは直径360mm、厚さ32mm、重量6.5kgとなっている。