FRP技術を独学で学ぶ
しばらくするとモータースポーツの世界が気になりだし、C110型スカイラインを本格的に攻めて走れるようにチューニングを施した。そのチューニング内容は、完全にサーキット走行用としてのリメイクだった。
現在、プロトタイプの「ケンメリGT-Rレーシング」用パーツはキットとしても販売されているが、北川さんが車両の製作を始めた時にはそういった便利な物はなく、さまざまな資料を集め、参考にしながらレプリカ製作を進めた。そのため、オーバーフェンダーや各スポイラー、ヘッドライトのジャケットも含めてFRP技術を独学で学び、完全オリジナルで型を完成してしまったというから驚きだ。
外装以上に手間とお金がかかっているエンジンについては、P90ヘッド面研に東名のカム、ポート研磨、リセス加工等を施したL28型改3.1Lエンジンのメカチューンだ。キャブはウェーバーφ50、タコ足はワンオフ等長φ48をセットし、φ80の自作ステンレスマフラーを組み合わせている。また、燃料系はポンプも含めて全てトランクに移設し、キノクニ製の安全タンクもセットすることで安定供給を図る。
ドライビングスキルを磨く日々
サーキット走行仕様として肝心な足まわりについては、長年仕様変更を繰り返し、C110型スカイラインにベストなセットを組む。現在の仕様は、前後スターロード製の車高調キットにリア強化ロアアーム、前後ARCスタビライザーを装着。ブレーキはRacing製ローターに加えてキャリバーもウィルウッド製に交換。駆動系は、オグラ製レーシングコンセプトクラッチにニスモのR180LSD、そして日産S15型「シルビア」用のニスモ6速クロスミッションを搭載する。
運転席も「戦うレーシングカー」としてアンダーコートを剥がし、メーター類もハーネスを引き直してセット。プッシュ式のスターターを装着するなど、本格的に作り込んでいる。また最近のメーターはデジタルで管理するケースが多いが、アナログメーターを採用する点がオーナーのこだわりを感じさせる。機械式サブメーターを多く配置する点は、旧車好きにとっても好感が持てるポイントだろう。
このマシンのメインステージは、オリジナルのケンメリGT-Rレーシングが走るはずだった富士スピードウェイだ。現在の目標はFSWで2分切りを達成すること。そのために北川さんは、現在進行形でチューニングを施し、ドライビングスキルを磨く日々を過ごしている。ちなみに、この通称「ケンメリGT-Rレーシングレプリカ」はフル公認車ということだ。