スポーツカーのペースでドライブを楽しめる
カーボンブロンズというマットカラー(それだけで+300万円らしい)のSV エディションワン(すでに完売御礼の限定車)で走り出す。自転車用のように大径で、スーパーカー用のように薄いタイヤを履いているとは思えない乗り心地の良さにまずは驚いた。軽くて強いカーボンホイールの効用もあるだろう。
ステアリングフィールは軽すぎず重すぎず、タイヤの存在感をほどほどに伝えるといったセッティング。思い通りに動かせる感覚と視線の高さとが相まって、とても扱いやすい。それゆえオンオフどんな状況でも自信を持ってドライブできる。ゆっくり走っている限り、S63エンジンはその存在感すら感じさせず、黒子に徹しているようだ.
カントリーロードに出た。スポーツカーのようなペースでドライブを楽しむ。6Dダイナミクスの効果は一般道でもかなりのもので、ごく自然なフラットライドを提供した。
真骨頂はサーキットで発揮された。S63の咆哮も勇ましく、その加速は劇的で重量を感じさせない。専用のブレーキシステムを装着しただけあって、制動もフィールももはやSUVのそれではない。腰から沈み込んで抜けるタイトベントでの姿勢などももはや大型FRスポーツカーのよう。サーキットで今、最も楽しいSUVだ。
本格的なオフロードもトライした。そんなプログラムが用意されているということは、つまりは自信の表れだ。予想通り、四肢は蜘蛛のように独立して動き、走行制御は完璧で、「ランドローバー」一族の名声に恥じないそれはオフローダーだった。顧客が実際に走るかどうかは関係ない。ブランドの矜持であろう。
ポルシェ「911」やランボルギーニ「ウラカン」といったスーパースポーツが地上高の高いモデルを用意してラフロードを走るような時代である。オフロードの本家本元レンジローバーが、その本分を忘れることなどあり得ないというわけだ。