BMWのお膝元ミュンヘンにも立派なディーラーはあるが……
ドイツ在住で、モータースポーツを中心に取材するためヨーロッパを東奔西走している池ノ内みどりさん。今回はミュンヘンにある自動車ディーラー事情をリポート。BMWのお膝元ではありますが、立派なメルセデス・ベンツのディーラーもあり、多くの来場者で賑わっているそう。しかし、いまメルセデス・ベンツはいろいろと大変なことになっているとのこと。筆者が驚いた、騒然としている現場の最新事情とは?
ディーラーの経営が変わると従業員はどうなる?
日本に中国から黄砂が降って来た日、ちょうど同じ日にドイツにもサハラ砂漠から砂が飛んできました。私の住む南ドイツのミュンヘンも砂が舞って視界はモヤモヤ……。数年前は真っ赤な砂が降ってきた事もありましたが、今年はそこまで赤くなかったものの、喉にまで入ってきてイガイガしました。幸いにもサハラ砂漠の砂飛来予報が出た時には、愛車は地下ガレージに入れたままでしたので事なきを得ましたけど。
アウディとBMWに並ぶドイツ御三家で、日本で最も人気のある自動車メーカーであるメルセデス・ベンツ。私はまだ残念ながら1台も所有したことはありませんが、幼い頃に観たアニメ『エースをねらえ!』で竜崎麗香こと“お蝶夫人”が、カッコよくメルセデスのSL(?)のカブリオレに乗っていて、SLにはものすごく憧れがありました。いまでもメルセデスに乗るならSLと決めていますが、まだまだその夢は叶いそうにありません。
さて、そんなメルセデス・ベンツですが、ミュンヘンにも非常に大きく立派な正規ディーラーがあり、BMWの4シリンダービルの本社同様に、メルセデスといえばアレ! と誰もが知る建物となっています。私はメルセデスオーナーではないものの、年に数回は訪れてしまうほどのステキな施設です。
ちなみに外観は同じでもメーカー直営の正規ディーラーと一般の自動車販売店がディーラー権を獲得して運営している場合があるのですが、じつは今、その正規直営ディーラー全80店舗を民間企業へ売却する案が出ているのです。
それによって、メルセデスの正社員として正規直営ディーラーで働いている8000人もの方々が、職を失う可能性も出てきたというではありませんか。販売譲渡された企業の社員としてそのまま継続勤務ができたとしても、おそらく正規直営ディーラーの時のような福利厚生や給与の額は望めないのではないでしょうか。社内や社外の労働組合などで話し合いが重ねられているようで、今後の行方が気になります。
リコール自体悪いことではないが数の多さに驚く
いまも日本在住の方から「ベンツに乗っていれば大丈夫」というワードを時おり耳にします。メルセデス・ベンツが長年日本で積み上げてきた信頼の証でしょうね。ですが、なかなかそうもいかなさそうな今日この頃のようで、最近はリコールも続いていて驚いています。
リコール自体はどのメーカーもありますが、今のメルセデスほど続くのは非常にまれに思われます。リコールの種類はまちまちで、これはごく一部ですが、2023年7月には2021年~23年製造のAMG GT、Cクラス、CLS、Eクラス、Gクラス、GLC、GLE、GLS、Sクラス、SLの58万9799台が対象と聞いて驚いたのですが、それに続き2024年2月は2023年製造のAMG GT、Cクラス、CLE、Eクラス、EQE、EQS、GLC、Sクラス、SLの25万台。
さらに、2024年3月21日に発表になったのは2017年~2024年製造分のAクラス、Bクラス、CLA、EQA、EQB、GLA、GLBの右ハンドル車52万8640台が対象となっています。ですので、日本に輸出された分も該当するかもしれませんね(編集部注:日本市場では2024年2月8日と3月26日にリコールが発表された)。とくに2022年からは連続して大規模なリコールが何度も発表され、また? という感じです。オーナーはもちろんですが、ディーラーや自動車販売店の方々も対応に追われ大変なことになっていると思います。
ミュンヘンはBMW本社がありますが、御三家+ポルシェは非常に多く走っており、そのなかでもメルセデスのモデルの数は本当に多いですね。量販車のほかにも商業車やトラック、バスまでありますから、リコールの種類も多くなるわけですね。自分では防ぎようがありませんが、旅行中等に不具合が起こらないことを祈るばかりです。