世界の小型車の絶対的規範となったゴルフたち
日本を代表するトレードショー型イベントのひとつとして知られるのが、千葉・幕張メッセにて毎年4月に開催されている展示・即売型トレードショー「オートモビルカウンシル(Automobile Council)」です。このイベントでは、オーガナイザー主導による魅力的なテーマ展示が行われるのも通例。今回は「フォルクスワーゲン・ゴルフ50周年記念展示 supported by フォルクスワーゲン・ジャパン」に出品された全車両を紹介します。
初代 ゴルフE(1980年式)
会場のエスカレーター側から見て一番手前に展示されていたのは、通称「ゴルフI(ワン)」、英語圏では「ゴルフ・マークワン」とも呼ばれる初代モデルだった。
1974年に発売されたゴルフIは、水冷直列4気筒エンジンを横置きするFWD。イタルデザイン・ジウジアーロによるボクシーな2ボックスボディにはハッチゲートが設けられ、優秀なパッケージング能力や清新なデザインから、超ロングセラー「タイプ1=ビートル」に代わる世界のベーシックカーとしてたちまち大人気を博し、現代に至る「セグメントC」コンパクトカーの開祖にして絶対的規範となった。
ただ、これはあくまで私見ながら、今回のような企画であれば前後バンパーやテールランプの小さな初期モデルのほうがより好ましい気もしたものの、純正以外のドレスアップの形跡があまり見られない、オリジナリティの高さから選ばれたということであろう。
2代目 ゴルフGTI(1990年式)
1980年代に隆盛を極めた「ボーイズレーサー」あるいは「ホットハッチ」の開祖もまた、VWゴルフであった。安全対策やオイルショックなどの障壁により、純粋なスポーツカーにとっては「冬の時代」といわれた当時、高い実用性を誇るハッチバックボディはそのままに、エンジンチューンとサスペンションを軽く強化することで「fun to drive」を実現したホットハッチは、スポーツカーに代わる存在としてヨーロッパのみならず日本でも一大勢力を築いていた。
そんなムーブメントの火付け役を担ったのが「ゴルフGTI」。ゴルフI時代の1976年からすでに登場していたものの、日本市場への正規輸入はこの1983年デビューの2代目ゴルフGTIからスタート。DOHC 16バルブヘッドを持つ「16V」が最高性能版としてラインアップされたのは、このゴルフII後期型からだった。