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日産「ハコスカGT-R」の神話は傑作パワーユニット抜きには語れない! レースで勝つために磨かれた「S20型エンジン」の真実

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TEXT: 青木邦敏(AOKI Kunitoshi)  PHOTO: 青木邦敏(AOKI Kunitoshi)

レース仕様の最高出力は255ps

高性能に磨きをかけて作られたGR8型エンジンをベースに量産モデルとして登場したS20型エンジン。主な変更点は、シリンダーヘッド、カムシャフト駆動方式、ウェットサンプ化、さらに生産向上を狙ってシリンダーヘッドはカムキャリアと一体化され、剛性アップも達成。

また、GR8型エンジンはバルブリフターの軽量化のため、バルブスプリングの上に重ねる小径のリフターが使われていたが、S20型エンジンではシリンダーヘッドを低くするために大型のリフターが採用。バルブ径も拡大された。

カムキャリアが一体式になったことでシリンダーヘッド上面は下面と平行になり、シリンダーカバーは吸気側と排気側を一体化したデザインになった。このことから、日産では初めてのヘッドカバー造形デザイナーが誕生。エンジンの顔であるヘッドカバーにこだわる発想もここから生まれた。

GR8型エンジンとS20型エンジンの違いについては、他にも色々ある。その一例が、ストロークを0.2mm短縮したことで、GR8型エンジンは1996ccだったが、S20型エンジンの排気量は1989ccとなっている。ただ、これはボーリングに対するゆとりを持たせた設計という考えだ。チューニングを行う際に、オーバーサイズを組めるようにあらかじめ用意していたといえる。

GR8型エンジンははウェーバー製キャブレターだったが、調達コストの低減という理由もあり、S20型エンジンでは三国工業が量産化に成功したソレックス気化器を採用。ちなみに、レースにおいてはGR8型エンジンと同じルーカスの燃料供給システムを搭載。S20型エンジンを搭載するレース仕様の最高出力は、最終的に255psまで引き上げられたといわれている。

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  • 青木邦敏(AOKI Kunitoshi)
  • 青木邦敏(AOKI Kunitoshi)
  • 1969年生まれ。某出版社でドレスアップ誌、チューニング誌の編集長を歴任。2006年に自動車・バイク専門の編集プロダクション株式会社バーニーズを設立。自動車専門誌をはじめ、チューニング、カスタム系、旧車、キャンピングカー、アウトドアに関する媒体を新たに立ち上げる。これまでの愛車は、セリカXX、スカイライン、AE86、AE92、シビック、スープラ、シルビア、180SX、ロードスター、RX-7、BMW850iなどなど。他にもセダン系、バン系、ミニバン系など数多くのクルマを乗り継いでいる。
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