スーパーGTやスーパーフォーミュラに参戦中の大嶋和也選手がドリフト競技にもチャレンジ
2024年4月6日~7日に開幕した2024シーズンのフォーミュラドリフトジャパン。近年話題の選手が多いこのモータースポーツに、新たに他のカテゴリーから参戦した選手がいました。それはSUPER GTやスーパーフォーミュラを戦う大嶋和也選手。日本トップドライバーのひとりである彼がなぜドリフト競技にチャレンジしたのか? その経緯を聞いてみました。
ドリフト開眼のきっかけはモリゾウ氏! さまざまな歯車がかみ合った
SUPER GTの2024年シーズンではGT500クラスで14号車「ENEOS X PRIME GR Supra」に乗る大嶋和也選手。今回、フォーミュラドリフトジャパンに参戦を決めた背景を聞くと、もともとドリフトに興味があり、今回参戦したチームGOODRIDE MOTORSPORTSの代表とも知り合いであったという。そんな縁があったので、お互いに「機会があればな……」といった具合だったそうだが、昨年末あたりからスケジュールやマシンの完成など、ひとつひとつの歯車が徐々にかみ合って、今回の参戦に至ったのだった。
さまざまなことがここ3カ月程度でどんどん決まり、短い準備期間しか許されなかったことを考えると、感動的なところまでこれたとチーム関係者は語る。
ドリフトへの興味に目覚めたきっかけのひとつが、GRモデルでの開発テストだ。近年は市販のGRモデルなどを中心に、量産モデルの開発ドライバーも務めている大嶋選手。その開発の過程で、低ミュー路での走行を通してスライドコントロールの楽しさに目覚めたそうだ。
フォーミュラドリフトジャパン2024開幕戦の当日は、大嶋選手にドリフトの楽しさを目覚めさせることになった張本人とも言えるモリゾウ氏も応援に駆けつけていた。モリゾウ氏もドリフトマシンに興味津々の様子であった。
今回フォーミュラドリフトジャパンという新しい競技カテゴリーに挑戦するにあたり、大嶋選手はモリゾウ氏にも相談したという。すると「なんでも挑戦してみたらいい!」とのエールをもらい、参戦への決意を固めたとのことだ。
ドリフト走行6回目で挑んだ予選はタイヤのウォームアップに課題
練習走行の後半では走りもまとまってきており、予選通過を思わせるような走りを見せていた大嶋選手。自身も練習走行後半に自信がついてきたそうだ。しかし、予選本番では2本ともミスをしてしまい、予選通過とはならなかった。
「タイヤのウォームアップや、冷えた状態での合わせこみがまだまだだった」
と、予選でミスをしてしまった理由を冷静に振り返っていた。
聞けばドリフトをはじめてこの日で「6回目くらいじゃないかな?」とのこと。本人は「まだまだ練習が足りてない」とコメントしていたが、6回目で富士本コースの高速ドリフトをこなしてしまうのだから、レーシングドライバーの順応能力というものには驚かされる。
国内トップドライバーでも最初は8の字から
最初は茂原ツインサーキットで定常円や8の字などからドリフトの練習を始めたという大嶋選手。日本のトップレーシングドライバーであっても、ドリフトの基礎である定常円からスタートするのだ。そこから茂原のコースで練習を重ねたそうだ。
3回目は、もともと関係もあったチームクスコのフォーミュラドリフトジャパン本番機を駆って富士スピードウェイのマルチパーパスコースで練習したが、「これじゃどうにもならない!」と焦りを感じ、自身でもドリフト仕様のチェイサーを購入して練習することに決めた。それほどまでに大嶋選手はドリフトにのめり込んでいるのだ。
こうして練習をしてフォーミュラドリフトジャパンのデビューを迎えることになったが、国内トップドライバーということもあり、なかなか練習のスケジュールが取れず本番となってしまった。本人も練習不足は感じているそうだ。
今シーズン、大嶋選手はフォーミュラドリフトジャパンに、6月6日~7日にエビスサーキットで開催されるラウンド3、10月5日~6日に岡山で開催される最終戦に参戦予定だ。「もっとドライビングの幅を広げたい」と語っていた大嶋選手。ドリフトでもどのような進化をするかに注目したい。