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ガンディーニを偲んで『ティーポ』創刊編集長の「オートモビルカウンシル2024」放浪記…1台のクルマが青春と人生の道しるべを示してくれた

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TEXT: 山崎憲治(YAMAZAKI Kenji)  PHOTO: 山崎憲治(YAMAZAKI Kenji)/AMW

無目的に国産車たちの間を逍遥する

もうすっかりこのガンディーニ追悼コーナーで堪能してしまっていた。クルマが最も熱く、それぞれの人生に侵入してきた時代。移動の自由をともに過ごすクルマへのこだわり。そのクルマがもたらす甘美で芳醇な時間……。自らが動く自由、公共機関の乗り物での移動と異なり自らのドライビングでのクルマ移動の時間は自分のもの。さまざまなドラマがある。

この場を離れると、蘇ったあの頃が薄れていくような気配に襲われた。無目的に会場を歩いていく。日産ブースには「プリメーラ」、「シルビア」、あ、パイクカーの「フィガロ」がいる。わが盟友ホキ徳田の愛したフィガロ。小説家ヘンリー・ミラーの奥方だった彼女、最近はめったに歌わないが86歳と最高齢のジャズシンガー。偏屈なぐらい自由と愛を大切に人生を生き、古くなっても決して手放さなかったフィガロ。ホキの「オン・ザ・サニーサイド・オブ・ザ・ストリート」が聴こえてきそうだ。

「AE86 BEV コンセプト」、「観音開きクラウン」、「見直そうクルマ作りをそして未来へ」の思いが見えるトヨタブース。ホンダは初代「シビックRS」を展示、今見てもいい。時代が求め始めたのかな。マツダはロータリー愛が全開、熱量がすごい。EVレンジエクステンダーロータリーへ繋げた歴史、1970年のコンセプトカー「RX500」、ミッドシップに10A2ローター搭載の展示。三菱はパリダカ、WRC(世界ラリー選手権)の歴史にこだわる。

さらにぶらぶらと見て回る。バーンファインドの日産「マーチR」。納屋に隠されたかつての息吹。右ハンドルのフェラーリ「365GT/4BB」がなんと2台もある。「512」もだ。

F1でセナ初優勝を飾った1985年JPSロータス97Tルノーの姿も

セナのヘルメットにレーシングスーツ……。アイルトン・セナの特別企画展コーナーに吸い寄せられた。セナ・プロ対決頂点の1990年マルボロ・マクラーレンMP4/5Bホンダに1991年MP4/6ホンダが並び、なんとF1でセナ初優勝を飾った1985年JPSロータス97Tルノーまで並んでいる。セナが鈴鹿を楽しんだ「NSXタイプR」。ホンダ第2期F1ラストイヤーの1992年、日本GP終了後に開発中のNSXタイプRにセナが乗り鈴鹿を楽しんだ。セナのコーナリング時の右足の動き、セナ足、の話題が出始めたころ。このテスト走行の現場に居合わせた。ブルゾンの背中にサインをしてもらった。もちろん今も大切にしている。

懐かしき名車たちに感慨深く思う

ふと目に入り魅かれたのはTHE MAGARIGAWA CLUBブースのフェラーリ「250GTクーペ」。ピニンファリーナの美しいフォルム、やはりこの時代のフェラーリは趣が違う、美神が棲むエレガンス。ランボルギーニ「イスレロ」、フェルッチオ・ランボルギーニ本人のデザイン。悩ましい。奇しくもアルファ ロメオ「モントリオール」の色違いが2台も……。外せない「コルチナロータス」、ロータス「エスプリS1」。ブリストルは、川上 完ちゃんのブリストルを思い浮かべる。もうVW「ゴルフ」誕生から50年かと、歴代ゴルフを眺める。時のたつのは早いものだ。おっと、デ・トマソ「パンテーラ」、マッスルイタリアン。ガンディーニの香りがする。また舞い戻ってきた、あの頃に。

たった1台のクルマが青春とそこからの人生の道しるべを示してくれたあの時代がここにある。あらためて会場を見回した。自動車に人生の同時性を感じる時代が終わる予感がする。この空気は幸せだった思い出か、記憶にとどめようとあがく今なのかもしれないと、感慨深く想いをはせた。

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