アイルトン・セナが所有したNSXが中古車市場に登場
英国最大の自動車マーケット「オート・トレーダー」において、伝説のF1パイロットであるアイルトン・セナがプライベートカーとして所有していたホンダ「NSX」が中古車市場に登場しました。オリジナルの状態をよく残しているNSXの販売価格は50万ポンド(邦貨換算約9636万円)。映画『レーシング・イズ・イン・マイ・ブラッド』にも登場した超貴重車です。
男性のみならず女性ファンをも魅了したF1パイロット
F1というと自動車レースの最高峰として、クルマ好きにはもちろん知られている。しかし、2024年4月5日(金)~7日(日)に三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで「2024 FIA F1世界選手権シリーズ MSC CRUISES 日本グランプリレース」が開催されたが、地上波での放送もなくなってしまった今では、日本GP開催時点でドライバーズランキングは誰が何位で、どのチームがどこのエンジンを使っているのか知らない人のほうが、おそらく多くなってしまったのではないだろうか。
だが、サラリーマンがランチタイムの世間話にF1の話題で花を咲かせた時代もあったのだ。当時はF1パイロットと呼ばれたレーシングドライバーは、好成績を収めるイケメンも注目され、男性のみならず女性ファンをも魅了した。当時は欧州を中心として転戦しており、「F1サーカス」と呼ばれていたのは、そのF1パイロットたちがまるでサーカスの曲芸師のようにマシンを操っていたからに違いない。
たしかに、言うことを聞かないマシンを押さえつける猛獣使いもいた。F1パイロットはまるでタレントであり、アイドルでもあり、英雄でもあったのだ。元F1ドライバーのジャン・アレジ氏の奥方は国民的美少女と言われた日本の女優さんだったし、癖のあるピットレポートで知られるモータージャーナリストの奥方も別れたとはいえ女優さんだった。レースファンじゃない一般人の間でさえF1は話題になるほどだったのだ。
それほどF1がメジャーなモータースポーツだった時代には、テレビ放映も大きなスポンサーが付いていて地上波が当たり前だった。それがBS放送になり、いまやCS放送になってしまっても、その昔1994年5月1日、サンマリノGP決勝中に非業の死を遂げた伝説のF1ドライバー、アイルトン・セナのファンは数多く存在する。
セナがポルトガル滞在中に提供された
そのセナがプライベートカーとして所有していたホンダNSXが、2024年4月23日に英国最大の自動車マーケット「オート・トレーダー」から50万ポンド(邦貨換算約9636万円)という驚きのプライスで売りに出された。世間では、有名人が所有した希少なクルマが次のユーザーの手に渡るとき、市場価格に加えて有名人が所有したという履歴に大きなプレミアが付くことがある。
アイルトン・セナは1980年代後半から1990年代初頭にかけて41のグランプリでポディウムに立ちマクラーレンで世界を制した。出身地であるブラジルでは国民的英雄として扱われ、『レーシング・イズ・イン・マイ・ブラッド』で映画化もされたが、その劇中にも「NSX」が登場している。
セナが所有していたNSXの現オーナーはロバート・マクファガン氏で、ポルトガルの旅行中に見つけたという。2019年、セナの事故から25年を契機にイタリアのイモラ・サーキットへ運ばれ、ジャンカルロ・ミナルディ氏がセナのファンの前で走行して見せた。
いまさらNSXについては語るべくもないが、和製ミッドシップスーパーカーとしてエキゾチックカーの仲間入りをしたクルマ。開発にも携わったセナが、ホンダとの契約下にあったポルトガル滞在中に提供されたものとされ、滞在中には頻繁にドライブしていたという。1991年の登録で走行距離は6万kmを少し超えた状態だ。いまやオリジナルのNSXでさえ希少なもので、取引があるとすれば高価には違いなく、オリジナルの状態をよく残している。購入を希望する者がセナファンであることは間違いないだろう。