クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB

クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

  • TOP
  • SPORT
  • 軽自動車レース「東北660耐久レース」に岩手大学自動車部が初参戦! いきなり3位の結果はデータを駆使した頭脳作戦のおかげ!?
SPORT
share:

軽自動車レース「東北660耐久レース」に岩手大学自動車部が初参戦! いきなり3位の結果はデータを駆使した頭脳作戦のおかげ!?

投稿日:

TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭(SATO Kei)

  • 大学生たち
  • 資料の一部を公開。ブレーキングポイント/使うギヤと想定されるスピード/注意や攻略のコツが分かりやすく解説されている
  • 多くの人が悩む「どっちのギヤを使えばいい?」問題を、L275ミラのエンジン特性やタイヤサイズから検証。この探究心は見習いたい
  • レース中はラップチャートを注視しつつ、臨機応変かつ細かく作戦を修正していく。データが蓄積されることでさらに強くなるはずだ
  • 部員の遠藤さんが作成した資料。レースの前にドライバー全員で共有し熟読し、当日もサーキットに持参して、何かにつけて活用している
  • 外観のテーマはトラック系カスタム。ドアに貼られた「自家用」ステッカーもそのひとつ
  • こちらもトラック通にはお馴染みのステッカーだ。次戦までにはさらに手が加わっているかも?
  • エンジン系はレギュレーションによりフルノーマル。余計なことを一切しなかったのもトラブルなく完走を果たした理由といっていい
  • サインボードは手作り。視認性にこだわりドライバーからも大好評だった。こうした小道具も好結果に少なからず影響するに違いない
  • 東北660耐久レースに初参戦ながら、3位の表彰台は幸先のいいスタート。ノークラッシュで完走という無理をしない作戦が吉と出た
  • ドライバー交代はライバルと差を付ける絶好のチャンス。速く安全にシートベルトを締めるには、事前の反復練習が大いに役立つはず
  • 戦い終えたマシンをライバルも含め、スタッフ全員が拍手で出迎える。シリーズ最長の次戦に備え、じっくりメンテナンスしてほしい
  • 自動車部の一員であり車両のオーナーでもある狩野弘匡さん。トラブルもクラッシュもなく最後までたすきを繋ぐことができひと安心
  • ノークラッシュで完走との目標を達成し、3位という好順位でチェッカーフラッグ。ドライバーだけではなく総合力の賜物といっていい
  • 部員は6名と決して多くないが結束力は固い。なお新メンバーはいつでも募集中なので、希望者はSNSなどでコンタクトを取ってみよう

大学の自動車部も切磋琢磨して参戦

軽自動車で戦うレースとして、人気となっている「東北660」シリーズ。耐久レースやターボ車だけのカテゴリーといったさまざまなレースが設けられ、幅広い年齢層に親しまれています。エントリーするチームには大学の自動車部も多く、今回は、2024年から初参戦した岩手大学自動車部に注目。いきなり3位表彰台を獲得した要因とは一体?

カスタムも楽しみながらレースに取り組む

2024年3月24日に行われた「東北660耐久レース」の開幕戦。2018年から設けられている学生クラスには、今回も新たな大学生チームが参戦を果たし、いずれも初参加で表彰台を獲得するという好成績を収めている。そのうちの1校が、岩手大学自動車部(IUAC)だ。

東北660耐久レースには、秋田県立大学などほかの自動車部から以前より誘われていたそうで、多くの車両を製作しているプロショップ「オートリサーチ米沢」の助言を受けつつ、L275型ダイハツ「ミラ」をベース車に選定。ロールケージ装着やクラッチ交換などの作業を2024年2月にスタートさせた。

車両のテーマは、貼られたステッカーを見て想像できるとおり、トラック系カスタム。走るためのチューニング以外も楽しみながら他校との差別化を図っている。なおロールケージはオートリサーチ米沢が受付店となっている、サイトウロールケージの学割を利用しリーズナブルに購入。改造範囲がかなり限定される3クラスの車両規則を遵守しながら、ブレーキディスクをベンチレーテッド化し放熱性を向上させたり、無加工で流用できる耐久性に優れた「コペン」純正クラッチなどを装着し、目標とするノークラッシュでの完走に向け最大限の努力をしてきた。

もうひとつ注目したいのは部員の遠藤龍之介さんが作成した、エビス東サーキットの攻略法やレースに関する注意事項をまとめた資料だ。全部で9ページにおよぶ力作で、ブレーキングポイントや危険な箇所の紹介に加え、コーナーごとに想定される速度やギヤを解説しスタッフみんなで共有している。

さらに、動画サイトで公開されている東北660シリーズの車載映像や、シミュレーターで得たデータなど使えるものはすべて駆使したことも、ノークラッシュという目標どころか3位をゲットできた理由だろう。

さらなるマシン改良を施し優勝を目指す

ドライバーに対する指示は、無理に速く走ろうとせず8割の力で、そして何かしら不安を感じたらすぐピットインすること、だったという。事前の練習では全員のラップタイムを記録することはもちろん、200分のレース時間をどう割り振るかシミュレーションし、誰がどれくらいの長さを走るかなどの作戦に活用したという。

とはいえ、思惑どおりにいかないのがレースの常。当日のラップタイムが想定していたより伸びず、作戦はある程度の修正を余儀なくされたそうだ。それでもコースやドライバーのデータ取りが万全だったことや、ピットインのタイミングやスムーズなドライバー交代により、2位との差は予想したほど開かなかったと当日のレース展開を振り返る。

チェッカーのワンシーン

東北660耐久レースのデビュー戦を、いい結果で終えた岩手大学自動車部。より上位を目指すための課題を聞いたところ、車両はまだまだ煮詰める部分があるようだ。とくに足まわりはクルマの完成がレース直前だったこともあり、まだ暫定的なセッティングしかできていない状態とのこと。もうひとつはまだ何も付いていない計器類を装着し、コンディション管理やデータ取りに役立てること。

7月14日にリンクサーキットで開催される5時間の第2戦は、灼熱と長丁場によるマシントラブルで脱落するチームが多い。岩手大学自動車部が進める対策は、いずれも速さだけではなくトラブル回避にも繋がることばかりなので、すべて整えばシリーズチャンピオン獲得に向けた下準備は万全か。なお他のチームにとっても参考になる資料の全文は、遠藤さんのInstagram個人アカウントで公開中だ。すでに参戦中の人もこれからエントリーを考えている人も要チェックだ。

■岩手大学自動車部 SNSアカウント
X:@iwateuniv_iuac
Instagram:@e_ryu0812(遠藤龍之介さん)

すべて表示
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
著者一覧 >

 

 

 

 

 

 

 

RECOMMEND

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

 

 

 

 

 

 

 

人気記事ランキング

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

AMW SPECIAL CONTENTS