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トヨタEP82型「スターレット」で2度目のパイクスピークに挑戦! 220馬力仕様となったマシンの中身とは

八木敏史選手と、2回目の挑戦となるトヨタ スターレット

2024年はタイムにこだわって挑戦!

パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム(通称パイクスピーク)2024の開催まであと2カ月というタイミングで、今回2回目の挑戦となるトヨタ「スターレット」(EP82/1990年式)がアメリカに向けて旅立つことになりました。参戦に向けてアップデートしたスターレットの中身とは?

世界で2番目に歴史のあるレースへ

パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムは、アメリカ・コロラド州にあるパイクスピーク(標高1万4115フィート=4302m)という山を、誰が一番速く駆けあがるかを競うヒルクライムレースである。その歴史は古く、第1回目の大会が開催されたのは1916年(日本の元号でいうと大正5年)のことである。以後世界大戦などで未開催の年もあったが、毎年7月4日の独立記念日前後に開催されている世界で2番目に古いレースであり、2022年に100回記念大会を無事に開催してもいる。

そのコースは、パイクスピークの山に取り付けられたパイクスピークハイウェイの途中のポイントとなる標高2862mのスタート地点から頂上までの全長約20kmの1本道。これを1台ずつアタックする。ちなみにこのパイクスピークハイウェイは通常は観光道路として使用されており、スタートからゴールまでコース全体を通してタイムアタックすることができるのは決勝日のみ、年に1回しかない。

レースウィーク中は、事前の練習セッションが用意されているが、この練習走行および予選セッションも、コースを3分割して、各参加車両も3つのグループに分かれて日替わりでセクションを変えながら走行をする。つまり1/3のコースで練習走行および予選をすることになるのだ。そして走行時間も、観光道路としての営業がスタートする前となる午前5時から8時半までという、極めて限られた時間での走行となる。

また、このパイクスピークの特徴ともいえるのが、高地での走行。頂上付近では空気が薄くなっており、エンジンの出力が30%近くダウンするといわれている。出力低下の少ないEV(電気自動車)が有利ともいわれているが、その低下分を見越した超高出力のモンスターマシンも数多く登場している。さらにより空力を稼ごうと巨大なエアロパーツを採用していることも、特徴のひとつである。

2度目の挑戦に向けアップデート

1990年式トヨタ「スターレット」でこのパイクスピークに挑戦するのは八木敏史選手。若いころにはラリーを楽しみ、近年は国内でBRIGヒルクライム・シリーズを中心にしたヒルクライムにトヨタ スターレットで挑戦をしている。パイクスピークへの挑戦は2024年で2回目となる。

2023年のパイクスピークへの挑戦に合わせ、車両は安全タンクを装着し、パイクスピーク仕様の太いロールケージを組み入れた。その初挑戦の結果は、12分33秒959で総合54位(クラス13位)となった。

残念ながら2023年に使用したエンジンはブローしてしまったため、今回は急造したエンジンに乗せ換えての参戦となる。タービンはR34「スカイラインGT-R」用をベースにチューニングしたものを装着。ボンネビル・ソルトフラッツでの最速記録挑戦の経験者でもあるフナッツのダンディー田中氏がセットアップを行ったという。

ラフにアクセルを開けるとホイールスピンを起こすほどで、実測で220ps出ているということだが、エンジンが間に合うのでだいぶ抑えている。また、このタービンを格納するためにラジエターの配置などを見直してもいる。

足まわりはBILSのワンオフとなる。実車での採寸の後、フロントは倒立でリアは別タンク式を採用。ピストン径はフロントφ46mm、リアφ40mmで、減衰力は前後とも40段調整とした。BILSの金沢氏は次のようにコメント。

「サーキットでも使えて、なるべくしっとり動くように味付けしました」

この足まわりに合わせ、アライメント、スプリングレートも大幅に見直しとなったそうだ。装着タイヤは普段から使い慣れているというADVAN A050をチョイスした。

外観には大きな変化はない。フロントのカナード類の形状を見直し、フロントタイヤに直接空気が当たらないようなものになるという(船積み直前ということで、写真ではそのパーツは装着されていない)。

八木選手は2回目の挑戦の目標を次のように語る。

「去年はエンジン、タービンを壊してしまい、ようやくゴールできた状態でしたので、今年はタイムにこだわりたいと思っています。2016年の奴田原文雄さんのトヨタ86が出したタイム(12分33秒139)にコンマ差で負けましたし、同年にヨーロッパのヒルクライムで有名なフィンランドのミッコ・カタヤ選手が4AGのKP61スターレットで出したタイム(11分42秒877)をターゲットにしようと考えてます」

パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム第102回大会の公式スケジュールは、2024年6月17日(月)に公開車検、18日(火)から4日間の練習走行および予選セッションが行われ、21日(金)の夕方にはファンフェスタが開催される。そして23日(日)にパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム決勝が行われる。

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