ワインディングでも落ち着いて速く走れる
ワインディングでも印象は変わらず、よく動くサスペンションが路面をしっとりと捉える。タイヤと路面が優しくコンタクトしているので安心感が高い。ハンドルをゆっくりとスーッと切っていけば、自然と曲がっていく。めちゃくちゃ曲がっていく。
コーナリングスピードの限界が分かりにくくなるほど安定しているので、気をつけないととんでもないスピードでコーナーに進入してしまうほど。それでも安定して一抹の不安もなく曲がっていける。
しっとりとクルマが反応するので、ドライバーも自然と操作がしっとりしてくる。「うりゃー」と操作しなくても反応してくれるので、こちらも落ち着いた操作ができるようになる。もう気がつくと木下みつひろ選手のようなスムーズなステアリングさばきになっている自分がいる。スムーズな運転養成ギプスでもあるのだ。
冗談のようだが、この仕上がりのサスペンションに乗っていれば自然と運転が上手になる。そういった仕上げがされている。
減衰力はソフト側でもハード側でもしっかり走れる
そして、減衰力が幅広く使えるのもポイントだ。このデモカーのバネレートはフロント5kgf/mm、リア6.5kgf/mm。さきほどまでは減衰力を30段階中の12段戻しで乗った。そこからもっと減衰力を弱めて27段戻しにすると、もっとソフトになっていく。でも、ふわふわするわけではなく、うまく動きが抑えられている。このあたりはタイヤとのマッチングで調整するのが良さそうだ。
そして、減衰力を強めてみる。3段戻しにしてみた。すると少しだけハードさは出てくるが、乗り心地が悪くなるというわけではない。ここまで減衰力を強めても一般的な車高調よりも遥かに快適。
ハンドルを切っていくと0°から90°くらいまでのところでの手応えが増す。切っていくとちょっとハンドルが重くなっていて、タイヤのグリップを感じながら曲がっていける。ちょうど「そこが欲しかったんだよ」というところの減衰力が出てきていて、乗り心地が硬くなる減衰力アップとはちがう反応を示してくれる。
ハンドルの操作に対する反応がよりダイレクトになってくるので、グリップ感を感じたい時には少し締め込むと良さそうだ。
極めて乗りやすく扱いやすいGR86が実現した
正直ここまで煮詰められているサスペンションはそうそうないレベル。HKS GATEでしか購入できないのがもったいない仕上がりだ。
クルマ自体はこのサスペンションに、CUSCOのLSD MZを組み合わせる。エンジンはHKSエキマニにHKSのLEGAMAXマフラーを組み合わせ、ECUはA PITオートバックス東雲オリジナルの純正書き換えサービス「デルタボックス」でまとめられる。ブレーキはエンドレスの6POTライト&S4Rの組み合わせ。
レスポンスよく吹けるエンジンはパンチがアップしている。ブレーキは安心感たっぷりで4輪で沈み込んで止まる感触があり、短く強く躊躇なく止められるし、街乗りでの操作性にも優れていて、鳴かないのも嬉しいポイント。極めて乗りやすく扱いやすいGR86に仕上げられているのだ。
GATE SPECサスペンションは現在車種を拡大中。これほどまでの仕上がりなら他車種にも乗ってみたくなる。ワクワクが止まらないのである。