アンティークよりも現代のリアル志向の方が人気?
そのほかにも当時モノのピフコ社製ホーン、エンジンへのアクセスを容易とするヒンジ付きトランクリッド、レザーのトランクストラップ、ビニールレザーのクッションシート、オリジナルのスピードメーターデカール、「ジャガー」、「BRDC」にくわえて「ユニオンジャック」のデカールなどでリアリティを向上させている。
さらに、レース中はつねに蝶ネクタイを着用していたという史実で有名な、「パピヨン」ことホーソーンにあやかって、青と白のドット模様の蝶ネクタイがダッシュボードに置かれるという、ちょっと粋な計らいも施されていた。
現存する希少なチーター・カブであるこのジュニアカーについて、ボナムズ社が製作した公式ウェブカタログでは「リトルビッグマンに好適」という謳い文句とともに、4000~5000英ポンドという、昨今のジュニアカー/チルドレンズ・カー流行りを思えば少々控えめなエスティメート(推定落札価格)が設定されていた。
ところが当日の競売では予測以上にビッド(入札)が伸びず、終わってみれば2816ポンド、日本円に換算すれば約54万3000円という、売り手側にとってはかなり厳しい落札価格で競売人のハンマーが鳴らされることになった。
円安の続く現在の為替レートから、われわれ日本人には結構な高値にも感じられるかもしれないものの、これまでAMWで紹介してきたジュニアカーの相場価格と比べると、かなり安価であるのは間違いないところである。
これはあくまで筆者個人の感想に過ぎないものの、21世紀におけるジュニアカー・コレクターの間では、可愛い「ピリオドもの」アンティークよりも現代のリアル志向のものが勝る……、ということと思われるのだ。