EVだけど「本物のエンジン音」も楽しめる
「この原付フォードGTは既成の電動バギーのパワートレインや足まわりなどのコンポーネンツを流用しつつ、FRPのボディを被せたものです。ボディはフランスのキッズカー・メーカー、Automobile S.C.A.F.社の5/8スケールのボディを参考にしました。ナンバー取得の際に係員にメーカー名や車名を聞かれたので、とっさに“N・S・C GT50”です、と答えました。ナカムラ・スモール・カーズの原付カーってことで(笑)」
サイド開きのFRPボディを持ち上げてシャシーを見ると、モーターやデフなどの駆動系とは別に、エンジンが備わっている。
「これはモーターのアクセル開度に連動して回転が上下するギミックを仕込んだホンダの汎用エンジン。もともと家に転がっていたヤツ。EVだけど、本物のエンジン音が楽しめるようにね」
とのことで、音源としてのみエンジンを搭載してしまう遊び心にも脱帽。
ル・マン・クラシックやグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードなど、海外では貴重なヒストリックカーを本気で走らせるイベントが盛んだが、それらのイベントの「前座レース」として頻繁に開催されているのが、小学生くらいの子どもたちが駆るキッズカーによるレースだ。日本ではまだあまり馴染みがないジャンルだが、中村さん謹製のGT50を見ていると、いずれは日本でもそんな次世代のクルマ好きを育む「レース」ができるんじゃないか、なんて楽しい妄想も広がるのだった。