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テスラ「モデルS」で初参戦! アニメとコラボした女性ドライバーだけのレーシングチーム初となるレースのゆくえは?

川合孝汰チーム監督と、は前田琴未選手と、今回参戦はなかったものの清水愛選手も応援に駆け付けた

アニメ『HIGHSPEED Étoile』とコラボしたレーシングチーム

近未来の日本を舞台に、最高時速500kmオーバーの次世代レース「NEX Race(ネクスレース)」での熱き戦いを描くテレビアニメ『HIGHSPEED Étoile(ハイスピードエトワール)』とコラボしたレーシングチーム、HIGHSPEED Étoile Racingが発足。そのチームが初のレースに出場し、今回は2名の女性ドライバーのうち、前田琴未選手がエントリーしました。

まずは無事に完走を目指す

チーム発足の記者会見からひと月弱となる2024年4月27日(土)、チーム「HIGHSPEED Étoile Racing」の初戦となるJEVRAシリーズ第2戦「全日本 筑波 EV55km レース大会」が筑波サーキットで開催となった。

JEVRAシリーズは、電気自動車技術の進歩と持続可能なモータースポーツの促進を目的とし2010年にスタートした電気自動車によるレースシリーズ。排出ガスもなく静かで環境への負荷を抑えながらレースの場を提供している。

レース距離は50〜60kmで、シリーズ発足当初はバッテリー搭載量の問題もあってレースペースは低かったが、EVの進化もあって、その競技内容もよりコンペティティブになってきている。参戦車両は市販EVやコンバートEV、さらにBEV以外にFCV(燃料電池車)やレンジエクステンダーEVの参戦も可能である。

「HIGHSPEED Étoile Racing」は、発足したばかりのレーシングチームで、SUPER GT(GT300クラス)やスーパー耐久シリーズ(ST-Zクラス)でタイトルを獲得した川合孝汰氏が監督を務め、ドライバーには前田琴未選手と清水愛選手の2名を擁している。

今回のJEVRAシリーズに参戦する「No.73 HIGHSPEED Étoile R」は、その車両(テスラ モデルS Plaid)の納車がぎりぎりだったということで、内装の剥ぎ取りやロールケージのインストール、そしてボディのラッピングは間に合ったものの、足まわりの変更はなし、もちろんタイヤの変更もないという状態で、ほぼ今回がシェイクダウンという状態である。

川合監督は次のようにコメント。

「クルマがギリギリになってしまってまして、まずはこのレースでは完走してもらってデータを取り、方向性を確認しながらタイヤや足まわりに手を入れてポテンシャルアップをして次戦につなげていきたいですね」

初めて乗った印象は「フワフワした感じ」

このJEVRAシリーズへの参戦は、チームの2名のドライバーが交代で行うこととなり、今回そのハンドルを握るのは前田琴未選手である。これまで4輪レースではホンダN-ONEオーナーズカップに出場したことはあるものの、その出場を機にレーシングカートを始め、現在特訓中ということもあってレース経験豊富というわけでもなく、チームとしても「まずは完走すること」を目標としての参戦となった。

午前中に行われた予選セッションでは、前田選手にとっても初テスラ、初EVレースということで、完全に様子見モードで走行。セッションベストタイムは1分12秒903、EV-Pクラス2番手であった。

前田選手はレース前に次のようにコメントしている。

「まだEVレースの経験もないですし、エアサスペンションなので、走ってみるとなんかフワフワした印象です。車両はこれから仕上げていくということなので、皆さんの邪魔にならないように走れれば……」

JEVRAシリーズは予選セッションから決勝レースまで数時間をかけて開催する。というのも車両の充電時間を設けているからだ。予選セッションが終わると、多くの車両がJEVRAに持ち込んだ充電設備で充電を開始する。そのため、午前11時15分に予選セッションが終了したが決勝レースは午後4時5分にスタートするスケジュールとなっている。

そして迎えた決勝では、前田選手のドライブする73号車は12番グリッドからスタート。多様な電動車両が参戦しているこのシリーズは、それぞれの駆動様式によって走り方も異なり、それぞれの作戦も異なるため、慎重な走りが必要。さらに今回のレースではフロントロウに並んだ2台がスタートで出遅れるという波乱のスタートとなった。

スタートではアウト側に車両を振り、混乱を避けながらも一気に上位グリッドの3台とスタートで動けなかったポールポジションの車両もパスして8番手で1コーナーに侵入している。2周目にはそのポールポジションスタートの1台にパスはされたものの、その後は9番手をキープ。

4周目にはベストタイムとなる1分09秒409を出すものの、レース中盤からは周回遅れも現れ、全幅1964mmという大柄な車両なうえに左ハンドル車ということもあって、後半は大きくペースを落とすこととなってしまったが、無事に9位でチェッカーを受けた。当初の目標の通り、事故や接触もなく完走でレースを終えた。

前田選手はレース後に次のように語っている。

「決勝レースは思いっきり行ってみようということで最初は楽しかったです。でも途中からタイヤカスを拾いまくってしまって、恐る恐る戻ってきました。次戦はFCR-VITAとKYOJO CUPです。富士の本コースはまだ2回しか走ったことがないのですが、この後テストもできるのでいろいろ準備をして臨みたいと思います」

続く5月10日(金)~12日(日)には富士スピードウェイで富士チャンピオンカップ(FCR)第2戦として開催されるFCR-VITA第1戦、そしてKYOJO CUP第1戦へ、VITA-01の2台体制で両ドライバーが参戦することとなる。

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