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バットモービルじゃないほうのBMW「3.0CSL」は人気がない!? 純正のグリーンのボディカラーが珍しい個体は1290万円〜で販売中

バットモービルじゃないほうのBMW「3.0CSL」は人気がない!? 純正のグリーンのボディカラーが珍しい個体は1290万円〜で販売中

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: Bonhams

やはりバットモービルじゃないと……?

今回ボナムズ社の「グッドウッド・メンバーズミーティング2024」オークションに出品されたBMW 3.0CSLは、新車以来の純正カラーである「タイガ・グリーン」にブラックのインテリアの組み合わせが魅力的な個体。シャシーナンバーは「2285469」で、英国で納車された最後の1台と目されている。また、英国仕様のデフォルトである「シティパッケージ」で、「バットモービル」エアロキットは装備されていない。

イギリスに輸出されたのち、エセックス州リー・オン・シーのBMWディーラー「フェアフィールド・ガレージ」が納車整備の多くを請け負い、当時のファーストオーナーは「ファセット・グループ(Facet Group)」社主のハドソン氏とのこと。同氏はこのCSLを走行距離4万7000マイル(約7万6000km)まで所有していたことが、多数の請求書からわかる。

そののち、この3.0CSLはハートフォードシャーに移され、新しい女性のオーナーのもとで21年近く保管されたが、その間の走行距離は1万2000マイル(約2万km)に満たなかったという。ただしヒストリーファイルには、1980年代半ばに行われた改装の記録が含まれていることからも分かるように、大切に維持はされていたようだ。

このシャシーナンバー2285469は2003年に、走行距離6万1900マイル(約9万9600km)の段階で売却された。そして現在のオーナーが2005年に購入して以来、メンテナンスを施されつつ大切に乗られてきたようだ。

ほとんどの整備はオーナー地元のガレージである「J J Griffiths of Llandrindod Wells」社に委託されている。またボディワークのリペアは「キング・オブ・クール・クラシック・カーズ」社によって行われ、フロントシートは2017年に自動車内装のスペシャリスト「ウェスト・カントリー・トリマーズ」社によって張り替えられた。

さらに「ミュンヘン・レジェンド」社が、2021年に現時点における最終のメカニズム系メンテナンスを施し、オイル交換は2023年9月に行われたとのこと。これらの修理とメインテナンスに費やされた費用は、すべてヒストリーファイルに記載されている、

スタンダード版3.0CS/CSiが1万9000台以上も生産されたのに対して、1971年から1973年の間に生産されたCSLはわずか1039台。これらの「スペシャル」は常にレアであり、究極のBMWクーペとして高い人気を誇っている。

この人気と個体のコンディション、あるいは確かな来歴を鑑みて、ボナムズ社は6万5000~8万5000英ポンド、つまり日本円にして約1290万円~約1640万円という、やや控えめにも感じられるエスティメート(推定落札価格)を設定した。

ところが、2024年4月14日に行われた競売では思いのほか入札が伸びなかったようで、締め切りの段階に至っても「リザーヴ(最低落札価格)」に届くことなく流札。現在でも継続販売となっている。

バットモービルの由来となった純正エアロパーツの有無、あるいはメカニカルコンディションによって、3.0CSLのマーケット価格は左右される。これがバットモービルであれば、近年では3000万円前後で取り引きされる事例も珍しくはない。

すなわちこのクルマの象徴である、純正エアロキットの有無。生まれついてのバットモービルであるか否かは、国際クラシックカー・マーケットにおける相場価格にも、大きく反映されるということなのであろう。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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