ガチャピンの愛称で親しまれるポータキャブ
とぼけた顔が一度見たら忘れられないマツダ「ポーターキャブ」。そんな愛らしいルックスのポーターキャブを見つけたのは大阪の築港赤レンガ倉庫横広場で開催された「360だョ!全員集合 in OSAKA」の会場でした。数多くの360cc軽自動車が集結し、希少な車両が多く見られたなかでもポーターキャブはこの1台のみのエントリーでした。
会場でもこれ1台のみ! 貴重な360cc時代の車両
ヘッドライトまわりのデザインがなんとも可愛らしいマツダ「ポーターキャブ」のオーナー村上さんは、空冷エンジンから水冷エンジンへと変更されたマイナーチェンジ直後の1973年式ポーターキャブと一緒に愛媛から仲間とともに自走でイベントにエントリーした。
ポーターキャブは、ボンネットタイプのピックアップやパネルバンとして1968年にデビューした「ポーター」の派生車種で、翌1969年にキャブオーバースタイルのピックアップとして登場。その後の軽トラックの基本形となるスタイルを確立した。ポーターキャブは、本家ポーターが1976年で生産終了したのちも、新たな550cc規格に対応しつつ1989年まで生産が続くロングセラーとなるが、とくに360cc時代は大きな丸いヘッドライトベゼルと美しいサイドスカートを持ち、ファンが多い。
パッチリおメメの理由は大きなヘッドライトベゼル
360cc時代のポーターキャブは、その愛らしいルックスから「ガチャピン」の愛称で親しまれているが、その大きな要因となっているのは、ヘッドライトの周りにホワイトにペイントされた大きな円形のヘッドライトベゼルが備わる独特のフロントフェイスにある。
のちの軽トラックと形状は似ているが、初期モデルは後方のみゲートが開くいわゆる一方開きベッドで、キャビンとベッドは一体構造となっており、側面にもサイドスカートが備わるのが特徴だ。これによって実際よりも車高は低く見えるという効果もあるようだ。
ちなみに1973年式のテールランプは上下でレッド/アンバーの2色となるが、この車両は村上さんの手で初期型のオールレッドタイプに交換され、その脇にウインカーが追加されている。またよく見るとヘッドライトも猫のマークが入るマーシャル製に変更している。
消防車として使われていた個体
じつはこの車両は、大阪のホテルで消防車として使われていた個体だそうで、荷台にポンプを搭載していた形跡があるものの、非常に状態も良く走行距離も少ない状態だったそうだ。そんな個体を村上さんは5年ほど前に入手し、自分好みにカスタマイズを施し、楽しんでいる。しっかりと走らせるために、必要な部品は個人的にストックしたり、流用パーツを探したりと苦労しているそうだが、それも含めて旧車ライフを満喫している様子だ。
ちなみに鮮やかなオレンジのボディカラーは純正ではなく、日産「チェリー」のオレンジにペイントしたものだ。ダッシュボードは空冷エンジン時代の簡素なものに交換されており、よりレトロ感を増している。一見して標準ではなさそうな車高は、村上さんの手でロワードされており、前後にハヤシレーシングのアルミホイールを装着している。極太のリアは「ミニ」用の6.5Jリムで、レタリングしたタイヤに干渉しないよう、若干フェンダーを加工しているそうだ。