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15台以下のロータス「エラン」が680万円から販売中!「シェイプクラフト ファストバッククーペ」はどうして生まれた?

15台以下のロータス「エラン」が680万円から販売中!「シェイプクラフト ファストバッククーペ」はどうして生まれた?

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: Bonhams

当時の流行を取り入れたファッショナブルなドレスアップを採用

いっぽう、今回のオークションに出品された登録ナンバー「JBW 86D」は、スタンダードのエランS2だった時代のことは判明していないが、1973年4月16日にドーセット州クライストチャーチの「ギブソンズ・スポーツ・カーズ」社から、部品取り用の「フォード コーティナ ロータスMk2」とともに、695ポンドで購入されたことは分かっているという。

新しいオーナーは、このシェイプクラフトをロードカーとして使用するために、ビニールのルーフカバーに「ハリー・モス」社製ラジオ、「レボリューション」社製ホイールなど、当時の流行を取り入れたファッショナブルなドレスアップを施す。

彼はこのクルマを公道で大いに楽しんだようで、走行距離は購入時の5万3892kmから、エンジン交換が必要と判断された1982年10月までに8万5303kmまで伸びていたとのこと。また同じ頃には、老朽化していたバックボーン式フレームの交換が必要となり、「ロータス・リプレイスメント(LR908)」の新品フレームに換装された。

そして一連の作業がおおむね終了した1980年代初頭、エランはオーナーの息子に贈られて以来、その息子が新たな所有者となる。

それ以後は完全に「モスボール化(防虫剤とともにしまい込むことを意味する英国の慣用句らしい)」されたわけではなかったが、このエランは2017年に路上に復帰させるために機械的な改修を行うと決定されるまで、長年にわたってほぼ完全な休眠状態に入る。しかし、2017年のレストアでは1万1000英ポンド以上が費やされ、英国の車検に相当する「MoT(自動車検査登録)」を受けられる状態にまで修復された。

いっぽうこのレストア作業を受けている間、現オーナーは別のシェイプクラフトのオーナーの協力を得て、ボディのモディファイの正統性を確認してもらっている。そして昨2023年の後半にさらなる機械的な改修を受けながらも、MoTテストに合格するために必要な追加作業はほとんどなかったとのこと。そののちも定期的に整備され、とても快調に走っているという。

このクルマには、前述した1973年からの請求書、最近のメンテナンス請求書、すべての前オーナーが記載された緑色のサービス日誌、最新の「V5C」ログブックなどが添付されている。また、この出品車が正真正銘の「シェイプクラフト」であることを確認するEメールのコピーおよび「クラブ・ロータス」のグラハム・アーノルド会長から送られた手紙。シェイプクラフトの歴史を記したオンライン記事、残存車両リストなども含まれていたという。

そして、長年にわたって登録されることなく、何年も前に失われたと思われていたこのエラン・シェイプクラフトがオークションに現れたのは、クラシック・ロータス愛好家にとっては、まさしく歴史的なできごとだったようだ。

この個体の来歴や車両コンディションを鑑み、ボナムズ社は3万5000~4万5000英ポンド、つまり日本円にして約680万円~約870万円という、26エランとしてはかなり高めのエスティメート(推定落札価格)を設定した。

ところが、2024年4月14日に行われた競売では思いのほか入札が伸びなかったようで、締め切りの段階に至っても「リザーヴ(最低落札価格)」に届くことなく流札。現在でも継続販売となっている。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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