予想落札価格を上まわったマリンコレクション
115年の歴史の中で、ブガッティは人気のあるクルマをいくつも生産してきました。そのエンジニアリングの独創性、固有の美しさ、希少性で知られるブガッティをオークションで購入する機会は、ブガッティブランドの時代を超越した魅力を証明するような、熱狂的な興奮にいつも包まれることでしょう。グッディング&カンパニーが開催したオークション「セレクション・フロム・ザ・マリンコレクション」では、ブガッティの各モデルが予想落札価格を上まわりました。
旧マリン自動車博物館から特別なモデルが出品
2024年4月26日にカリフォルニア州オックスナードで開催されたオークション「セレクション・フロム・ザ・マリンコレクション」は、旧マリン自動車博物館から出品された。同博物館はフレンチクラシックとアールデコの世界最大の自動車コレクションとして、他の多くのスターアトラクションとともに有名であったが、先見の明のある創設者ピーター・マリン氏の死去に伴い、2023年9月に永久閉館となった。
ブガッティ・ファミリー全員の卓越した才能を展示したマリン自動車博物館には、カルロ・ブガッティによる75点以上の家具、レンブラントの数多くの彫刻、そしてエットーレとジャン・ブガッティの世界最大のプライベートコレクションが展示されていた。そして長い間、博物館の目玉はジャン・ブガッティ設計による1936年式のブガッティ「タイプ57SC アトランティック」だった。
オークションでは、これらの特別なモデルが出品された。オークションの主役は1938年式のブガッティ「タイプ57C アラヴィス スペシャルカブリオレ」で、予想落札価格は250万ドル、つまり約3億9530万円だったが、結果的にはこのモデルの世界記録となる660万5000ドル、つまり約10億4400万円で落札された。
このクルマはガングロフ製ボディの3台のうちの1台で、有名なブガッティ・チームのレーシングドライバー、モーリス・トランティニャンのために、アヴィニョンの代理店グラナ&フィルスが新車で注文したものだ。アイボリーのボディにダークブルーのフェンダーとトリムが特徴的で、1939年式のコミンジュ・グランプリではトランティニャンが当時のレースで成功を収めた。サージェント・メタル・ワークスによって2005年にナット&ボルトでレストアされ、2002年からはピーター・マリン・コレクションの一部となっている。
ブガッティ「タイプ46 セミプロフィレ・クーペ」もまた、タイプ46の世界記録を塗り替え、予想下限額の65万ドル、つまり約1億円に対して110万5000ドル、約1億7470万円で落札された。セミプロフィレ・スタイルのコーチワークを見事に再現したこの希少なタイプ46は、プラハのブガッティ代理店ウラジミール・グートによって注文された。その後、さまざまなオーナーを経て2000年代初頭にレストアが施され、ハリー・クーウェンがタイプ46史上最も見事なボディ、セミプロフィレのレプリカの製作を請け負った。
予想落札価格の2倍を達成
しかし、高値で取引されたのはレストアされた車両だけではなかった。1927年式のブガッティ「タイプ40 ブレーク ド シャス」をはじめ、オリジナル度が高く、修復されていないブガッティが何台も予想落札価格を大きく上まわる価格で取引された。このブガッティは1927年12月2日にフェルナン・ハックによってオーダーされ、納車された。
1930年代から1940年代にかけて、「タイプ40」は現在のような特徴的な木製の「シューティングブレーク」ボディに改造された。「タイプ40 ブレーク ド シャス」の予想落札価格は10万ドル、約1580万円だったが、44万5000ドル、約7040万円で落札された。ほかにもブガッティ「タイプ57 ヴァントゥー」は、どちらもオリジナルのエンジンとボディワークを持ち、1927年のブガッティ「タイプ40 フェイク・カブリオレ」と1931年のブガッティ「タイプ40 Aロードスター」も好調な売れ行きとなった。
AMWノミカタ
ブガッティはオークションの高値更新の話題に事欠かない。2023年のRMサザビーズのオークションでは「シロン プロフィレ」が979万2500ユーロ(約14億円)の値をつけたことが話題となった。今回のモデルとは同じではないが、2022年のペブルビーチオークションでは1937年製の「タイプ57 SC アタランテ」も1034万5000ドル(約16億円)で落札されている。ブガッティのエンジニアリングの独創性、固有の美しさ、希少性はオークションの世界でも輝きを放ち、評価され続けている。