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日産「フェアレディZ ニスモ」を長距離で試したら「サーキットで走らせたい」と初めて思った! 買えた人はラッキー、でもスタンダードでも十分

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TEXT: 西川 淳(NISHIKAWA Jun)  PHOTO: iconic/NISSAN

念入りなチューンでGT性能に磨きをかけた

いつものように東京から京都までのロングドライブを敢行する。果たしてその乗り味はというと、例えばGT-R ニスモで感じたような異質さはまるでなく、あくまでもベースグレードの延長線上に存在するモデルだと思った。

パワートレインやエアロダイナミクスなど念入りに“ニスモチューン”されているとはいうものの、ひと言でその仕上がりについて評価すれば“スタンダードグレードの上質版”。スポーティさを強調しすぎず、つまりはGT-RのようにサーキットとGTという2極化には向かわず、よくできたグランドツーリングカーというZ本来のキャラクターに磨きをかけたという印象の方が優っている。見た目の印象はけっこう違う。スタンダードより長く、そして幅広い。フロントマスクのデザインがまるで違うこともあって、存在感の強さは格別だ。

3L V6ツインターボエンジンはスタンダードグレード用でもすでに最高出力405ps/最大トルク475Nmと十分にハイスペックだ。独自のチューンを施したとはいえニスモではそれぞれ420ps/520Nmで、正直にいうと公道では大差ないと感じてしまう。街中での乗り心地も拍子抜けするほど良好だ。サスペンションやブレーキのみならずボディ&フロアまで念入りに補強されているというのに、それらしき硬派さを感じることはない。

最近のニスモらしさをイージーに実感したければ、高速道路での長距離ドライブがオススメだ。新東名あたりの120km/hクルーズ領域を流れにのって走っていると、エアロダイナミクスの恩恵を少なからず感じることができる。空気を綺麗に裂き進む感覚や、路面との距離が近いフラットライド感、押し付けられたコーナーでの安定感など、ベースモデルのGT性能レベルがもう一段上げられていることが容易くわかる。

もちろん、フェアレディZ ニスモの真骨頂はスポーツドライビングだろう。高回転域まで引っ張ったときの精緻なフィールは流石に心地よく、サウンドの質もきめ細やか、回すことがそれなりに楽しいエンジンだ。ハンドリングは素直でかつ機敏で、意のまま感は相当に高いレベルにある。サーキットで走らせたいとZに乗って初めて思った。

けれども実はスタンダードグレードにも、サーキット走行への衝動以外は、十分に備わっている資質なのだ。だから、スタンダードモデルの納車の列に並んでいる間にニスモが出て、しかも買えなかったというオーナーには悲観することはないと言っておきたい。ドライビングファンとGT性能という点で言えばノーマルでも十分に高い。買えた人はたしかにラッキー。ニスモはもちろん、スタンダードモデルだってそうなのだから。

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