初参加の2名と参加2回目の1名がサーキットを走る
小山博幸さんは、バイクの事故で頸の神経根引抜き損傷により、肩から下の左腕が全く動かすことができず感覚もほとんどない状態である。
「HDRSについては以前から知っていたんですが、ひと月前に、ある走行会に参加することとなって、それがすごく楽しかったので、もっとサーキットを走行する機会を増やしたいと思って参加しました。初めての走行会の後、この車両のままでは……ということで、今回は足まわりとタイヤも変更してきました」
小形 希さんも2015年の夏にバイクの事故で脊椎を損傷。みぞおちから下の完全麻痺だという。この3月にサーキットデビューをし、これまで本庄サーキット、富士スピードウェイと走ってきて、今回が3回目のサーキット走行である。
「走るのが楽しいのでこれからもどんどん走っていきたい」
と思い、知人の紹介でこのHDRSにたどり着き、今回の参加となった。
この日の天候は朝から雨が降ったり止んだりの状態。ただ、午後にかけて天候は回復していくという予報だった。青木氏はブリーフィングでこの日のコンディションを解説していた。
「ウエット路面なのでクルマの挙動を知ることができるいいチャンス。午後にかけて路面コンディションはドライに変わっていくので、一度でいろんなシチュエーションを試すことができるまたとないチャンスです。一般公道での走行でも役立つスキルを身に付けてほしい」
スキーのジャンプ事故で腰椎損傷、下半身不全麻痺の芹澤 輝さんは、チェアスキーやカヌーを楽しんでいる。今回2回目の参加となったHDRSでは初のウエット路面で次のようにコメント。
「クルマの限界が低くなることがよくわかりました。路面の状況の変化に合わせてタイヤの空気圧を下げて行ったり、いろいろと探ることができました。これから足まわりの変更をしたいですし、いろいろやりたいですね」
ホンダN-ONEカップにHDRSとして青木拓磨参戦へ
この日も先導走行に使用されたホンダ「N-ONE」だが、これは、参加型の入門レースとして位置づけられるナンバー付きワンメイクレース「N-ONE OWNER’S CUP」仕様車で、実際に2016年シーズンから2019年シーズンまで、車いすドライバーの青木氏が、健常者とともに競った車両である。
車両には、ステアリングワンハンドコントロールシステム(ステアリング脇にあるレバーを押し下げることでアクセル、前方へ押し込むことでブレーキとなる。通常はブレーキ操作でアクセルはオフとなるのだが、レース用にアクセルがオフにならないようプログラム変更している)をインストールしている。
「前回の参戦から5年も経っているのにまだ参戦ができるんです。N-ONEのレースってコスパの高いレースですよね。今回は、機能障がいを持ったHDRSの参加者でもこの車両を使ってレースへステップアップできるよってことを実証したくて参戦を決めました」
青木拓磨氏が参戦するN-ONE OWNER’S CUP第3戦は5月18日(土)に、大分県にあるオートポリスで開催となる。また、HDRSは次回7月10日(水)に千葉県にある袖ヶ浦フォレストレースウェイで開催予定だ。